2012年8月29日水曜日

南海トラフ巨大地震の被害想定を国が発表_首都直下地震等による東京の被害想定_立川断層帯・多摩直下地震_再調査・活断層_国土地理院_首都大学東京大学院教授の山崎晴雄氏

立川断層帯・多摩直下地震

●毎日新聞 2012年08月29日
ともに備える:立川断層帯・多摩直下地震/上 未解明点多く再調査へ /東京
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20120829ddlk13040190000c.html
 ◇激しい揺れ、火災に心構えを
 都が4月に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」。初めて盛り込まれた「立川断層帯地震」と被害規模が拡大した「多摩直下地震」はともに死者数の想定が2000人を超え、多摩地域を中心に甚大な被害が確実視される。社会に求められる備えはどのようなものか。防災の日(9月1日)を前に報告する。
 立川市と武蔵村山市の市境にある住宅地。日産自動車村山工場跡地とを隔てる道を西から東へ進むと、緩い上り坂が始まる。長さ約150メートルで高低差は5、6メートル。立川断層帯の一部だ。全長33キロの断層帯は、地震発生時に指揮や避難、救護の中枢となる立川広域防災基地や立川市役所、災害医療センターの脇を走っている。
 国土地理院の職員が航空写真で地表を走るその直線を見つけたのは1970年代。首都大学東京大学院教授の山崎晴雄さん(61)=地震地質学=は堆積(たいせき)した火山灰などを基に、断層の動いた跡であることを突き止めた。
 そして98年、立川断層は5000~6000年周期で動き、最後は2000年前との見解を示した。それに基づけばあと3000年は動かないことになるが、山崎さんは「この断層は分からないことが多く、想定は絶対ではない」と話す。
 一方、国の地震調査委員会の評価(03年)によれば、1万~1万5000年の間隔で活動し、最後は1万3000~2万年前。いわば満期で、
30年以内の発生確率を0・5~2%とした。この数値は国内の活断層では「やや高いグループ」に属するという。 ただし、国は「さらに調査が必要」との注釈をつけた。過去の活動を示す十分な資料がなく、多くが未解明なためだ。そのため「立川断層帯が動けば、広範囲に影響が出る。東日本大震災によるひずみなども考慮する必要がある」(文部科学省地震・防災研究課)として、今年度から3年かけ重点的に再調査する。9月から日産の工場跡地などで掘削調査に着手するという。
 代表的な活断層地震といえば、95年の阪神大震災だ。しかし国は、立川断層帯地震は揺れとともに断層北東側が2~3メートル隆起する「たわみ」や、段差が生じる可能性を指摘する。山崎さんも「緩やかな坂が出現する撓曲(とうきょく)タイプでは。建物が土台から崩壊するより傾く可能性が高い」。共通するのは、断層線上に表れるずれで生じる被害より激しい揺れへの備えや火災防止の重要性だ。
 都立国立高校で地学を教える非常勤教員の角田清美さん(65)は阪神大震災以降、立川断層の市民講座を断続的に開いてきたが、「いつ動くのか」と聞かれることが増えてきたという。そのときは、こう答えることにしている。
 「大事なのは、地震が起きたら、『どうしよう』ではなく、『こうしよう』という心構え。それを具体的に考えるために、断層についての知識を増やしましょう」

 ◇立川断層帯
 青梅市から立川、府中市へと延びる約21キロの立川断層と、埼玉県飯能市から青梅までの約12キロの名栗断層を合わせた33キロ。国の地震調査委員会は昨年、東日本大震災の地殻変動で立川断層帯を含む全国5カ所の活断層で地震の発生確率が高まった可能性があると発表。都防災会議は今春、被害想定に初めて地震被害を盛り込んだ。
立川断層帯地震はマグニチュード(M)7.4で、2600人が死亡し、約101万人が避難者となるなどと予想している。




南海トラフ巨大地震

●毎日新聞 2012年08月29日
南海トラフ巨大地震:最悪で死者32万人…国が被害想定
http://mainichi.jp/select/news/20120830k0000m040001000c.html
 東海から九州沖を震源域とする「南海トラフ巨大地震」について、中央防災会議の作業部会と内閣府の検討会が29日、死傷者や浸水域など被害想定を発表した。関東から九州の太平洋側が最大34メートルの津波と震度7の激しい揺れに見舞われ、最悪のケースでは死者32万3000人、倒壊・焼失建物が238万6000棟に上り、1015平方キロが浸水する。
内閣府は「発生確率は極めて低く、対策を取れば被害を減らせる」として冷静に受け止めるよう強調している。
 国や自治体は想定に基づいた防災対策を迫られる。中川正春防災担当相は記者会見で南海トラフ巨大地震対策特別措置法を「制定していく」と明言し、来年の通常国会に法案を出す意向を示した。
 駿河湾から九州沖に延びる浅い海溝・南海トラフ沿いで複数の震源域が連動してマグニチュード9級の地震が発生したと仮定。被害想定は、駿河湾から九州沖までの四つの領域について、それぞれ最も大きく断層が動いた場合をシミュレーションした。その上で発生の季節や時間帯を変え死者数96パターン、全壊棟数48パターンの想定を出した。
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