2012年10月5日金曜日

福島第1原発2号機に温度計を新設_2号機でのみ温度計が壊れるか原因は不明

●産経ニュース 2012.10.4
福島第1原発2号機に温度計を新設 相次ぐ故障、原因未解明http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121004/dst12100422110011-n1.htm
 圧力容器の温度計が故障するトラブルが相次いでいる東京電力福島第1原発2号機に、新たな温度計が取り付けられた。これにより、9月7日から続いていた圧力容器底部の温度計が残り1個という危機的な状況を脱した。ただ、なぜ2号機でのみ温度計が壊れるか原因は不明で、再び温度計が故障するリスクは残されたままだ。
 温度計は、熱を持った燃料が原子炉内でどのような状況にあるのか監視する上で最も重要な機器。東電によると、2号機圧力容器底部には当初6個の温度計があった。だが、昨年11月に1個が故障したのを皮切りに、今年3月と4月に計3個が、9月7日にさらに1個が故障。それ以来、残る1個のみで計測せざるを得ない状況が続いていた。
 温度計新設は今年3月から計画。だが圧力容器は厚い格納容器に覆われており設置方法をめぐり難航。計画から半年以上たった今月3日、原子炉にホウ酸を注入するための配管から挿入することに成功した。
 圧力容器底部の温度計測は、原子炉の異常を監視するだけでなく、昨年12月に政府が宣言した「冷温停止状態」が維持できているかを確認する上でも重要だ。
 冷温停止状態の条件として、政府と東電は(1)新たな放射性物質の放出が抑えられている(2)圧力容器底部の温度が100度以下-の2点を条件としている。最後の温度計が故障したら、原子炉が「100度以下」に保たれているかの判断がつかなくなってしまうのだ。
 圧力容器には上部や側面にも温度計があるため、東電は「仮に最後の温度計が壊れても、ほかの温度計で温度の傾向は確認できる」と説明してきた。しかし、溶けた燃料がたまる底部の温度が計れない状態が長引けば、冷温停止宣言に疑念が生じかねなかった。
 温度計新設で当面の懸案はクリアできたが、2号機だけでなぜ温度計の故障が相次ぐのか根本の問題は解決されていない。東電は「事故直後の温度や圧力が激しく変動した時期に傷んでしまったのではないか」と分析するが、新設した温度計も故障しない保証はなく、「故障したら交換して対応するしかないのが現状」と頭を悩ませる。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長も「なぜ2号機だけ次々とダウンしているのか、検討するよう事業者にも求めてほしい」と原子力規制庁に指示した。