2012年2月26日日曜日

地震予知に関わる大学_北海道大学大学院 地震火山研究観測センター

北海道大学と地震予知に関するニュース等の記事をそのまま転載。

■2003年10月3日/朝日新聞
「十勝沖地震、4カ月前から電磁パルス観測 北大調査」
震度6弱を観測した9月26日の十勝沖地震の約4カ月前から、
震源地に近い北海道えりも町で電磁パルス(瞬間的な電磁波)が観測されていたことが、
北大地震火山研究観測センターの茂木透助教授(地球電磁気学)らの調査で分かった。
電磁パルスは大地震の前によく観測され、今回も地震の7日前に特に多く出ていたという。
茂木助教授によると、電磁パルスは6月ごろから観測され始め、
9月19 日は明け方ごろから特に多い状態が断続的に続いた。
地震前日の25日 はあまり出ていなかったが、26日にやや増え、
27日以降はほとんど観測 されない状態に戻ったという。
茂木助教授は「岩石が壊れ出すと電磁パルスが出るとされ、
今回の地震に先立つ破壊は6月ごろから始まっていた可能性がある」としている。

十勝沖地震の4カ月前から電磁パルス観測

■2004年10月8日/日本地震学会2004年秋季大会
「十勝沖地震に前駆するパルス地電流信号の異常な変化について」
榎本祐嗣(信州大)・橋本 寛(株コムテック)・村上 裕・白井信正(産総研)・笠原 稔・茂木 透(北大)

遠距離のFM放送局の電波が地震前に受信できる現象が、
2002年12月より57事例あった。

■2011年3月25日/北海道新聞
8カ月前から電波異常 北大研究グループ観測 「地震前兆の可能性」
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/earthquake0325/124696.html
未曽有の被害をもたらした東日本大震災の約8カ月前から、
東北地方のFM放送の電波が強くなる電波異常が続いていたことが、北大の研究グループの観測で分かった。
道内の過去の大地震発生前にも同様の異常があり、同グループは「前兆現象の可能性がある」とみている。
観測したのは、地震の予知に取り組んでいる北大地震火山研究観測センター研修支援推進員の森谷武男博士(元北大助教授)のグループ。
2002年から、ふだんは200キロ以上離れた場所や山などの障害物がある地域では受信できないFM放送向けのVHF帯(超短波)が
地震発生前になると、到達しない地域にまで届くようになることに注目。
「地震発生前の岩盤破壊で電磁波が発生し、その影響で電波が散乱する」との仮説を立て、
道内11カ所に観測用アンテナを設けて電波の変化を観測してきた。

地震発生前の岩盤破壊で電磁波が発生し、
その影響で電波が散乱する

マグニチュード(M)7・1を記録した08年の十勝沖地震では、
地震発生10日前までの約40日間にわたり通常の2倍の強さの電波を観測。
04年の留萌南部地震(M6・1)でも同様の現象が見られた。
今回は昨年7月ごろから異常を観測、日高管内えりも町と札幌市南区の観測地点ではほぼ毎日、
岩手県のFM局の電波の強さが通常の2~3倍になった。
地震発生前の電磁波の異常に着目した予知の取り組みは日本と同様、地震の多いギリシャでも行われている。
地中に埋めた電極間の電圧の変化を測る方式で、
1993年にM6・7の地震が起きた際は、このデータを元に付近の住民を事前に避難させたという。
ただ、地震発生と電磁波、電波との関係は科学的に証明されておらず、懐疑的な研究者も多い。
大学教授らでつくる地震・火山噴火予知研究協議会(東京)の森田裕一企画部長は「大事なのは地震発生前に電磁波が出るメカニズムや、
電波に影響を与えるプロセスを解明すること」と指摘する。
森谷さんは「実績を積み重ねることで予知の道が開けると信じている」と話している。

■2011年6月4日/J-CASTニュース
「大震災40分前から電子量が急増 地震予知実現にわずかな可能性」
http://www.j-cast.com/2011/06/04097039.html?p=all
東日本大震災発生の40分前、震源地上空の「電離層」の電子量に異常があったことが、
北海道大学理学研究院の日置幸介教授(地球惑星物理学)の研究で分かった。スマトラ沖地震など、過去の大地震前にも同じ現象が確認され、地震予知に役立つ可能性が期待されている。
日置教授によると、地震後に大気中の電子の量が変動することは数年前から知られていたが、
今回、地震前にも変動することが明らかになったという。
「チリ地震、スマトラ沖地震でも電子の増加が確認」
地上約300キロメートルの「電離層」の電子の量を、国土地理院の全地球測位システム(GPS)を使って解析したところ、地震発生40分前の2011年3月11日14時以降、震源となった三陸沖上空で、電子の量が平均して約1割増加していた。
過去の大地震も解析したところ、2010年2月のチリ地震(M8.8)では発生40分前から、
スマトラ沖地震(M9.1)でも90分前から電子の増加が確認された。なぜこのような現象が起きるのか、詳しいメカニズムは明らかになっていない。
また、2003年9月に北海道で発生した十勝沖地震(M8.0)では電子の増加を確認することができなかった。
「M8.2とか8.3でも、後から解析すると気づくというレベル。M9レベルでないと事前には気づくことはできない」とし、まだ予知の役に立つものではないとするが、
「今はGPS衛星を使って上空から見下ろして解析しているが、電子が増えるもともとの原因は地面にある。
そのメカニズムを突き止めて地表で観測すれば、精度も上がるかも知れない。地震発生に電気が関わっていることは間違いない」
と話している。

地震発生に電気が関わっていることは間違いない

「FM電波の異常も観測される」
北大の地震火山研究観測センターの森谷武男博士も地震発生前に、
普段受信できないサービスエリア外のFM電波が強くなる「地震エコー」と呼ばれる現象を北海道で観測。
2010年6月末から3月11日の地震発生までほぼ毎日続き、地震発生直後も再び確認された。
森谷博士は、「地震発生前に電場に変化が発生することでFM電波が散乱、反射している可能性がある。
現在は、場所は特定できないものの、大きくて7.3程度の地震が起きるレベルだ」
と話す。今後福島県と群馬県内からも観測をするとしている。
前出の日置教授は、
「以前は結構いた地震予知の研究者も、阪神大震災でみんな挫折して辞めてしまった。
最近も予知そのものが原理的に無理という風潮になっているが、地震の前兆だといえるデータを提示して、
国土地理院や気象庁を動かしていきたい。資金が投入されれば、研究する人も増え、次につながることになる」
と前向きに話している。

地震の前兆だといえるデータを提示して、
国土地理院や気象庁を動かしていきたい。

■2012年1月30日/中日新聞
「電離層の電子1割増 東日本大震災発生40分前」
北海道大は昨年5月、地震予知に関連する注目すべきデータを発表した。東日本大震災の発生40分前、上空300~400キロで大気の電波を反射する「電離層」で電子が増え始め、約1割増加していたという。「電離層を観測すれば、予知につながるのでは」と関心が集まった。
地震予知を目指す電離層の研究は旧ソ連で始まり、20年以上の歴史がある。地震の前にはプレートが動いて電子が飛び出し、電離層に影響を及ぼす可能性があると考えられている。
(後略)

電離層を観測すれば、予知につながるのでは
■2012年2月10日/NEWS ポストセブン(女性セブン2012年2月23日号)
http://www.news-postseven.com/archives/20120210_86928.html
「震災発生直前 FM電波が遠くに届く異常現象が発生していた」
「4年以内に70%」(東京大学地震研究所)、「5年以内に28%」(京都大学防災研究所)。
マグニチュード7以上の巨大な首都直下型地震の発生確率が、いずれも権威ある研究機関からあいついで発表され、人々を震撼させている。
東京大学地震研究所はその後、確率は50%以下に落ちるとしたが、いずれにしても、
「いつ巨大地震が起きてもおかしくない」という日々を、これから過ごしていくことになる。
「数年以内」というあいまいな予測期間が、人々の恐怖を増幅しているとはいえないだろうか。
研究者の中には、「その日」がいつかをいち早く知るために、独自の方法で“地震予知”に取り組んでいる人たちがいる。
そのなかのひとり、北海道大学大学院理学研究院教授の茂木透さんは、放送局の電波に着目している。
茂木さんらが行っているのは、地震に伴う電磁気現象の研究だ。難しそうな名前だが、
そのうちのひとつの課題として、VHF帯(ラジオでいうところのFM放送で使われている電波)で、
地震に関連する兆候が表れないかを観測をしているのだ。
1995年の阪神・淡路大震災のときに、
地震の前に普段は聞こえない遠方のFM放送の電波に“異常”が表れたという串田嘉男さん(八ヶ岳南麓天文台長)の先駆的研究をもとに、
森谷武男さん(北海道大学大学院理学研究院研究員)とともに2003年ころから日高地域や道東地域で観測を行っている。
FM放送の電波は、普段は宇宙に突き抜けていくので、地表に沿って直接届く範囲でしか聞こえない。
しかし、地震の前に大気中で電波を散乱させる現象が起きると、遠くでも聞こえるという仮説に基づいている。
日高山脈の下で起こったマグニチュード4~6の地震約40例について地震の前に電波異常が観測されている。
3.11の大地震に関連があったかもしれないと茂木さんらが考えているのは、89.9メガヘルツのFM放送だ。
「この周波数は中標津(北海道根室管内)にあるFM放送局からの電波で、
普段はえりも町(北海道日高管内)にある北海道大学の観測所では受信されません。
ところが、この電波に、2010年6月末から急に異常な変動が表れ、
12月ころから異常の回数が減って2011年の2月末にはほとんどなくなりました。
その後、あの3.11の大震災が起こったのです。
調べてみると、同じ周波数の放送局が岩手県北部にもあることがわかりました。
その周辺で地震に関連して電波を散乱させる現象が起こり、
この周波数の電波が普段は届かない遠くまで伝播したと考えることもできます」(茂木さん)
えりも観測所では、震災後の4月から再び89.9メガヘルツの電波に異常が表れ、現在でも続いている。
「しかし、いま観測されている異常は、どこに由来する電波かわからず、
3.11以降新たに設置した周辺の観測点では同様の異常が観測されていないので、
地震に関連ある現象かどうかは検討中です」(茂木さん)
「電磁気現象」の正体がわからないとはいえ、阪神・淡路、東日本、ふたつの大地震でともに見られた現象を無視することはできない。

FM電波が遠くに届く異常現象と地震

北海道大学大学院
http://www.sci.hokudai.ac.jp/graduate/
北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター
http://www.sci.hokudai.ac.jp/isv/

研究に期待したい。

●日置幸介(自然史科学部門地球惑星ダイナミクス分野 教授)
●茂木 透(地下構造研究分野 教授)
●森谷武男(地下構造研究分野 研究支援推進員)

※森谷武男氏については別ページにも記載。
<森谷武男氏>