2016年10月11日火曜日

貫 恒実さんからの手紙


また、どこかへ行きたい。
もしくは、行かなくてはならない自分。
がある。

なぜか、死んだ貫さんが襲ってきた。

古い貫さんからの手紙が
今も生きている私の現実を見透かしている・・・

(前略)

そろそろ死ぬことを考えます。
そうしたら良い仕事をするかといえば、そうでもない。
ただ経験の間に間に浮かんでいます。
でも人間にも、仕事にも、
その苦汁のような味わいに、
寝床の中で歯ぎしりします。
結論はないのだけれど、

痛んだ五体と精神をひっさげて、
もろい、実にあやうい関係の中で、
一人哀しむことの快楽におぼれます。

(後略)

昭和61年9月30日 貫 恒実