また、どこかへ行きたい。
もしくは、行かなくてはならない自分。
がある。
なぜか、死んだ貫さんが襲ってきた。
古い貫さんからの手紙が
今も生きている私の現実を見透かしている・・・
(前略)
そろそろ死ぬことを考えます。
そうしたら良い仕事をするかといえば、そうでもない。
ただ経験の間に間に浮かんでいます。
でも人間にも、仕事にも、
その苦汁のような味わいに、寝床の中で歯ぎしりします。
結論はないのだけれど、
痛んだ五体と精神をひっさげて、
もろい、実にあやうい関係の中で、
一人哀しむことの快楽におぼれます。
(後略)
昭和61年9月30日 貫 恒実