2012年11月8日木曜日

原子力規制委員会・放射性物質拡散予測図「避難・防護計画を立てるためには不十分」_避難計画・ヨウ素剤配布・20ミリシーベルトで地域は拡大

●毎日新聞 2012年11月07日
原子力規制委:放射性物質拡散予測図訂正 県が詳細データ要望 「20ミリシーベルトなど必要」 /茨城
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20121107ddlk08010269000c.html
 原子力規制委員会が公表した原子力発電所事故時の放射性物質拡散予測図を巡り、1週間の被ばく積算線量100ミリシーベルトの地点を示したことについて「避難・防護計画を立てるためには不十分」として、県が規制委に対し、20ミリシーベルトなど、より詳細なデータを示すよう求めていることが分かった。規制委は拡散予測を「県が地域防災計画を策定するための参考情報」と位置付けており、対応が注目される。
 「1週間で100ミリシーベルトでは足りない。20ミリシーベルトなどもっと下のレベルが必要。公表できないのか」。2日、東京都内の原子力規制庁で行われた原発立地自治体の担当者を集めた連絡会議で、県原子力安全対策課の黒沢一男副参事が訴えた。規制委の事務局を務める規制庁側は「できる範囲で協力していきたい」と応じたという。
 県の質問は、日本原子力発電東海第2原発が立地する東海村の要望を受けたものだった。同村原子力安全対策課は「避難計画やヨウ素剤配布を含め、原子力災害の対策計画を立てるのには20ミリシーベルト、50ミリシーベルトなどの細かいデータが必要」と話す。
 規制委は先月24日、国際原子力機関(IAEA)が定める緊急時の避難の判断基準に当たる事故後1週間の被ばくの積算線量100ミリシーベルトに達する地点を示す拡散予測図を公表。5日後「風速・風向データの入力に誤りがあった」として訂正した。
 東京電力福島第1原発事故で政府は、年間被ばく積算線量20ミリシーベルト超〜50ミリシーベルト以下を「居住制限区域」、同50ミリシーベルト超を「帰宅困難区域」などとする一方、予測図では1週間で100ミリシーベルトの地点しか示していない。規制庁は「事前に避難範囲を決めるための初期対応のもので、中長期的なものではない」とした上で、年間20ミリシーベルトの地点を示した場合について「単純に考えれば地域は拡大する」と説明する。
【杣谷健太】