2012年7月11日水曜日

行方不明_2012年度神奈川県内の居所不明児童・生徒は8自治体_横浜84人・川崎33人_帰国やDV

●カナコロ(神奈川新聞社) 2012年7月10日
県内小中学生140人の居所不明、親と帰国やDV逃れ/神奈川
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1207100015/
 ことし5月1日現在、県内で140人の小中学生が、住民票を残したまま1年以上所在が分からなくなっていることが9日、各市町村教育委員会への取材で分かった。各教委は所在確認を進めるが、教育環境の確保に向け民生委員や児童相談所などの関係機関、自治体間の連携も課題となっており、文部科学省は「全国の傾向を把握して対策をまとめる」と話している。
 文科省は、毎年5月に行う学校基本調査に基づき、都道府県教委から居所不明児童・生徒数の報告を受ける。8月に速報値として全国の人数を発表する予定。
 最新の2012年度県内の居所不明児童・生徒は、8自治体で140人の報告があり、横浜84人、川崎33人と大都市部が全体の8割を占めている。


 県子ども教育支援課は居所不明の理由を、外国籍の親が届け出せずに子どもを連れて帰国したり、ドメスティックバイオレンス(DV、家族間の暴力)被害者が転出入を隠したりするためなどとみている。
 しかし、居所不明児童・生徒の所在確認は難しいのが実情。子どもが海外に出国した場合の追跡調査は、さらに困難が伴う。
 相模原市では、電気メーターや郵便物を点検しながら訪問を重ねるうちに、父親と面会でき、外国人の母親が子どもを連れて帰国したことを確認できたケースがあった。一方、「就学年齢なのに通学しない子どもの住所を訪ねたら別の住人がおり、転出先も分からなかった」(秦野市)という例も多いという。
 そうした制約の中で子どもの安全と教育環境を守るため、各教委は取り組みを進めている。居所不明数が最多の横浜市では6月、庁内にプロジェクトチームを設置。実態把握に努めるほか、家庭への支援策を検討し年度内にまとめる方針だ。
 小田原市教委は、「市内で暮らしていても他の自治体から見れば居所不明となっている例が考えられる」として、DVから逃れようと小田原に移ったケースの把握と、安全のための情報管理の徹底を目指す。
 また横須賀市教委は、「実態確認には他市町村との連携システム構築が必要」と説明。県教委も横浜市などと連携し対応する考えだ。

◆居所不明児童・生徒
 学校行政全般を調べる文科省の学校基本調査において、全国の教育委員会から「1年以上居所不明者数」として報告される。

2011年度は全国で1192人、県内は142人。同省は11年に学校や教育委員会に対し、不明者の把握にとどまらず、適切な対応を行うよう通知した。10年度まで各教育委員会の調査方法が統一されていなかったため、300人台で推移していたが、適正化したところ千人以上が行方不明であることが分かった。