2012年9月17日月曜日

横浜市保土ケ谷区_救命情報シート・カプセル_自治会に加入する全世帯に配布_冷蔵庫・社会福祉協議会・町内会・消防署・救急隊員_東日本大震災・被災時の身元確認の重要性

●神奈川新聞 2012年9月16日
冷蔵庫に「救命情報」カプセル、保土ケ谷区の自治会が全世帯配布/横浜http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1209160021/
 名前や持病、緊急連絡先など「救命情報」を入れたカプセルを自宅冷蔵庫に保管、緊急時に備える取り組みが、横浜市保土ケ谷区で広がっている。地元消防署と必要な項目を調整するなど実用性を重視。「緊急事態は誰にでも起こり得る」と高齢者らに限定せず、自治会に加入する全世帯に配布しているのも特長だ。
「救命情報カプセル」を手にする近藤会長。保管する冷蔵庫には、ステッカーを張って目印にする
 取り組みを進めているのは、同区の中央東部地区。地区社会福祉協議会と連合町内会が連携し、ことし5月から加入する約4千世帯に配布を始めた。
 A4判の「救命情報シート」に記載するのは、名前や血液型、生年月日などの基本情報のほか、持病や既往歴、アレルギーの有無、服薬内容など。用紙1枚が1人分で、かかりつけ医や緊急連絡先、「ペースメーカーを使用している」など駆け付けた救急隊員らへの伝言を記入する欄もある。
 筒型のプラスチック製カプセル(直径7センチ、高さ22センチ)に入れ、冷蔵庫に保管する。「地震や火災などで家屋が倒壊した際でも、家具の中で原形をとどめやすい」と、中心となって取り組みを進めてきた近藤忠行・中央東部地区社会福祉協議会会長。
 きっかけは昨年秋、近藤会長が自治会長を務める団地で起きた“事件”だった。
 ある高齢夫婦宅で、「夫が倒れた」と妻から連絡を受けた近藤会長は、すぐに119番通報。駆け付けた救急隊員は、夫の名前や生年月日、持病などを聞き出そうとしたが、動転した妻は思うように答えられず、搬送まで予想以上に時間がかかったという。
 「必要な情報を素早く的確に伝える方法はないか」。昨年3月の東日本大震災で、被災時の身元確認の重要性も指摘されていた。近藤会長はことし1月、地区社協に実行委員会を発足。他地域の取り組みを参考にする一方、保土ケ谷消防署と記載項目を調整し、独自の「救命情報カプセル」を完成させた。
 カプセルを保管している世帯は、目印として近藤会長がデザインしたステッカーを玄関と冷蔵庫に張る。「1人1枚にまとめたことで、迷わず情報を得られる」と近藤会長。他地域でも同様の取り組みはあるが、多くが独り暮らしの高齢者ら「災害弱者」に限定する中、自治会員全世帯に配布。住民からは「独り暮らしで不安だったが、今後は意識を失ったとしても対応してもらえる」などの声が寄せられているという。
 保土ケ谷区福祉保健課によると、区内22地区のうち、中央東部のほか1地区が導入し、ほか3地区が検討。保土ケ谷消防署は「活用事例はまだないが、患者の既往症や服薬状況が分かり、素早い搬送につながる」と広がりに期待している。

地域レベルで対策する、よい取り組み例だと思う。