【254】継続検査でより確実な内部被ばく予防へ-福島・宮城・栃木・千葉県の子どもの尿検査結果http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2012/07/--bfe2.html
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)は7月13日添付のプレスリリースを発出しました。
今回のプレスリリースは調査に協力したフランスの放射能測定NGO-ACROも仏において同日発表(現地時間)しています。
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福島・宮城・栃木・千葉県の子どもの尿検査結果について
2012.7.13
福島老朽原発を考える会・放射能測定プロジェクト
青木 一政
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福島老朽原発を考える会(フクロウの会)はフランスの放射能測定NGO ACROと連携して、福島県内および宮城・栃木・千葉各県の子どもの尿検査の放射能分析を行った。
今回の検査結果の分析からは次のポイントを指摘することができる:
● 事故後1年4カ月経過しているが、広い範囲でこれまでと同程度のセシウムが検出される。
● 継続検査でより確実な内部被ばく予防へつなげることができる。
● 同様な食生活パターンからは同レベルの体内セシウム量になる。
● 食材からの摂取だけでなく土ほこりなどからの吸入の可能性がある。
プレスリリース資料(pdf)をダウンロード
資料1尿検査結果一覧表(2012.2.27~6.15)をダウンロード
1. 検査の目的
(1) 2011年5月に開始した尿検査を継続し、尿検査の対象者、地域を更に広げて実態を把握する。
(2) 昨年以来の一連の検査で比較的高い測定結果が出た被験者のフォロー調査を行い生活パターンとの関連を把握する。
(3) 生活パターン改善とフォロー検査で内部被ばく防止につながることを広く告知して、内部被ばく予防、健康リスク低減に役立てる。
2. 検査対象
(参考:過去の検査対象)
これまでの尿検査対象 2011年5月末~2012年2月15日 延べ66人
詳細についてはパンフレット「続・子どもたちの尿検査から見えてきたもの」(福島老朽原発を考える会発行)をご覧ください。
3. 検査方法
2012年2月末~5月末に採尿(350~500ml)。
仏ACROで高純度ゲルマニウム半導体によるガンマ・スペクトロ・メトリにてガンマ線解析
4. 検査結果データ
- 別紙1「福島・岩手・宮城・千葉県の子どもの尿検査」参照 -
5. 検査結果のまとめ
(1) 検査対象者32名中12名の尿から放射性セシウムを検出した。検出レベルはセシウム134、137合わせて0.66~2.49Bq/Lである。このレベルは2011年5月末~2012年2月中旬のレベル(0.71~4.64Bq/L)と比べても同程度である。広い範囲で放射性セシウムの摂取・吸入による内部被ばくが起こっている。
(2) 今回の検査対象者のうち5名は過去の検査でセシウムが検出された者のフォローアップ対象者である。フォローアップ対象者の全てが減少傾向を示しており3名は検出限界(0.2~0.4Bq/L)以下となった。
(3) 検出された被験者は宮城県(栗原市)、千葉県(松戸市)、栃木県(那須郡、芳賀郡)、福島県(福島市)に在住である。これまでの調査と同様に広い範囲の子ども(一部大人も含む)の内部被ばくが確認された。
(4) 宮城県栗原市の5名は同程度のレベル(1.68~2.49Bq/L)で尿中セシウムが検出された。
6. 分析
(1) 継続検査でより確実な内部被ばく予防へつなげることができる。
今回のフォローアップ検査対象者にはフォローアップ3回目、4回目の対象者が含まれる。検査回数を重ねることで、生活パターンの改善が充分か、すなわち追加的なセシウム摂取をしていないかどうかの傾向把握ができることが分かる。
[図1. 23歳男性の継続調査]
図1は23歳男性のフォローアップ検査の結果である(サンプルNo.120514U-2)。2回目検査で1回目検査より約10%程度低減したが減り方としては少なかった。3回目検査では検出限界以下となった。2回目と3回目検査の間の生活パターンの変化としては、①冬場で積雪のため毎週実施していたソフトボールの練習をせず。②3~4月にかけて花粉症対策のためマスクを着用の2点があった。
尚、食事については1回目検査以降、食材を選んで購入、飲料水・調理水はミネラルウオーターを使用に変えていて大きな変化はない。
図2は17歳高校生(運動部)のフォローアップ検査の結果である(サンプルNo.120514U-1)。
1回目検査から4回目検査にかけて徐々に低下してきている。しかし生物学的半減期100日と仮定したシミュレーションと比較すると減少率が低く、0.6Bq/L程度で平衡状態となる傾向もうかがわせている。1回目検査以降、①食材を選んで購入、飲料水・調理水はミネラルウオーターを使用、②帰宅後すぐ食事をしていたのを、入浴してから食事に変更した。
しかし減少傾向からは食材等の他に未だ定常的にセシウムを摂取していることをうかがわせる。運動部で土ぼこりを吸い込んでいる可能性も考えられ、継続調査が必要である。
[図2. 17歳高校生の継続調査]
(2) 今回測定した宮城県栗原市の子ども5名全員から同程度のセシウムが検出された。
120227U-1 ~ 120227U-5は宮城県栗原市在住の子どもである。尿中のセシウムレベルは1.68~2.49Bq/Lの範囲である。これまでの我々の測定による検出範囲(0.71~4.64Bq/L)と比べて、比較的狭い範囲に集中している(全体のバラツキの約20%の範囲)。この子どもたちの共通点は同一地域にすむ農家の子どもで、自家栽培の米、野菜を食べている。同様な食生活パターンから同程度のセシウムレベルになっていることが推測される。
以上
※本件についての問い合わせ先
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)・放射能測定プロジェクト 青木一政
090-7245-7761
QZL00322@nifty.com
【参考】
1. フランスの放射能測定NGO ACROについて
http://acro.eu.org/ 参照
2. これまでのフクロウの会の尿検査結果について
(1) 1回目記者会見(2011.6.30)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/06/1010-b831.html
(2) 2回目記者会見(2011.9.7)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/09/post-0cd0.html
(3) 3回目記者会見(2011.12.16)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/12/post-2f31.html
(4) 4回目記者会見(2012.3.7)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2012/03/post-8642.html
(5) 尿検査と生活改善で内部被ばく低減-一関の4歳女児のその後(ブログ記事)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2012/04/post-56c0.html
子どもたちの内部被ばくの低減を!