2011年6月11日土曜日

カルシウム_ナノカルシウム_パラドックス_サプリメント_牛乳のカルシウムは吸収されない?!_牛乳や乳製品、肉などの消費量が多い国に骨の疾患が多い_ビタミンD、マグネシウムやリンとのバランスが重要

「カルシウム(Calcium)」
・カルシウムは重要なミネラル
・カルシウム不足は、腎臓結石や生活習慣病の原因の一つ
・牛乳や乳製品、肉などの消費量が多い国に骨の疾患が多い
・ビタミンD、マグネシウムやリンとのバランスが重要

●カルシウム
カルシウムは動物や植物の必須元素のひとつ。人間の場合は、体重50〜60kgの成人体内に1kg前後含まれ、生体中で最も多いミネラルで約99%は骨や歯に、約1%が血液や細胞内に存在する。
植物の場合は、窒素、リン酸、カリウムが重要な元素で、次にカルシウムとマグネシウム。この5つの元素は肥料の五要素。

●カルシウムの働き
カルシウムは骨や歯をつくる以外に、脳や神経の情報伝達、ホルモンの分泌調整、心臓の機能調整や筋肉の収縮・弛緩、外傷時の血液の凝固、細胞分裂の促進、白血球の貧食作用の補助、胃液の分泌調整、鉄の代謝の補助など。

●カルシウムの不足
カルシウム不足で新しい骨の細胞が作られにくくなり、骨密度が減少して骨がもろい状態になるのが骨粗しょう症。特に閉経期後の女性は、エストロゲン減少の影響でそのリスクが高くなる。
また、骨からカルシウムが溶出して血中カルシウム量を一定に保とうとし、カルシウムが血管壁などの軟部組織に沈着して、細胞内のカルシウム濃度が増加し、高血圧症や動脈硬化、糖尿病の促進、心筋梗塞などの生活習慣病の原因となる。
その他、生長不良、椎間板ヘルニア、体が疲れやすい、眠れない、肩こり、こむら返り、頭痛、瞼がぴくぴくするなどもカルシウム不足が原因の場合もある。

●日本人はカルシウムが不足
カルシウムは日本人に最も不足しがちなミネラルで、十分な量を摂取できていない。
国民栄養調査で不足状態が続いている唯一の栄養素。世界各国の中で日本は最低水準のまま。

●カルシウムの摂取基準
日本人の食事摂取基準2005年版・1日当たりのカルシウム
男性の場合は、18~29歳900mg、30~49歳650mg、50~69歳700mg、70歳以上750mg。
女性の場合は、18~29歳700mg、30~49歳600mg、50~69歳700mg、70歳以上650mg。
上限量は男女とも2300mg。

●カルシウムを多く含む食品
牛乳、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、シシャモや小魚などの魚、エビやイワシなどの干し製品、昆布やワカメなどの海藻類、豆乳や豆腐などの大豆製品、チンゲンサイやモロヘイヤ、小松菜やモロヘイヤ、小松菜などの野菜、など。

●カルシウムは吸収されにくい
食物から摂取するカルシウムの吸収率は25~50%程度で、多くは便や尿として体外に排泄される。
食品からの積極的な摂取が必要だが、カルシウムの吸収率はリンの摂取量が多いと低下し、
リンやマグネシウムなどとのミネラルバランスも重要。
また、ビタミンDが足りないとカルシウムの吸収が悪くなる。

●カルシウム・パラドックス
・カルシウムが不足しているのに、過剰であるかのように細胞内にカルシウムが多量に蓄積される。「カルシウムが足りないと骨のカルシウムが減り、血管や脳などにはカルシウムが増えてくる。」
・カルシウムを摂り過ぎると腎臓結石になりやすいと言われていたが、「腎臓結石ができやすいのは、カルシウム不足が原因」
・「カルシウムの摂取量が多い国ほど骨折や骨粗鬆症などの骨の疾患が多い。」骨折が多いのは、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、イギリス、アメリカ、フィンランド、イスラエルなど。牛乳や乳製品、肉などの消費量が多い国に骨折が多い。
カルシウムの摂取量よりも、カルシウムを排出させる酸性の負荷を動物性タンパク質がもたらすという悪影響の方が大きいからで、血中の酸を中和する野菜や果物のアルカリ成分が少ないのも原因のひとつ。ビタミンD、マグネシウムやリンなども関係している。

●ビタミンD「カルシウムの吸収を促進させる」
腸でのカルシウムの吸収を促進し、血中カルシウム濃度を一定に保ち、骨の形成を助けるビタミンD。
紫外線が皮膚に当たることで体内でも合成されるが、皮膚がんや肌のトラブル防止のために紫外線対策をしている人も多い。
<ビタミンDを多く含む食品>
魚、きくらげ、干シイタケ、しめじ、卵黄など。

●マグネシウム「カルシウムとのバランスが重要」
マグネシウムも骨や歯の形成、体内酵素の正常な働きやエネルギー生産を助け、恒常性ホルモンの合成、血液循環を正常に保つなどの重要な役割をする元素で、カルシウムとも相互に連携している。
カルシウムを過剰摂取するとマグネシウムの吸収が阻害される。
また、大量のアルコール、利尿剤などもマグネシウム不足を招く。
<マグネシウムを多く含む食品>
魚介類、海藻、野菜、ナッツ、玄米など。

●リン「リンを過剰摂取すると、カルシウムやマグネシウム不足になる」
リンは、人体でカルシウムに次いで多いミネラル。約80%はカルシウムと結合した骨や歯の成分。
残りは、筋肉、脳、神経といったあらゆる組織に存在し、細胞膜や遺伝などを司る核酸を作り、エネルギーの運搬、貯蔵、神経機能を正常に保つなどの役割。
リンの摂取量が多すぎると、カルシウムやマグネシウムの吸収率を低下させる。
<リンを多く含む食品>
肉類、魚介類、牛乳、乳製品、加工食品など
インスタント食品、スナック菓子、缶詰、清涼飲料水などの多くの食品添加剤としても使われているで、過剰摂取に注意が必要。

●ミネラルバランス
ミネラルの摂取は、多すぎても少なすぎても好ましくなく、また、一つのミネラルだけを大量摂取すると、他のミネラルの吸収や生理作用などを阻害するので、バランスよく摂取することが大切。
<好ましいとされるカルシウムとのミネラルバランスの例>
・カルシウム:リン=1:1~1:2
・カルシウム:マグネシウム=2〜3:1
・カルシウム:リン:マグネシウム=2:2:1

●ナノカルシウム
髪の毛の10万分の1ほどにナノ化したカルシウム。ビタミンDがなくても体内に吸収され、余分なカルシウムは排出される。