●NHK NEWSWEB 10月16日
地震の「予測」 将来は可能に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121016/k10015794251000.html
地震予知に関する研究が本格的に始まって、ことしで50年になります。
日本地震学会は、今後の研究の方向性を探るシンポジウムを開き、地震を「予知」できるかどうかについては専門家の間で意見が分かれましたが、時期や場所をある程度絞り込む「予測」は、将来、可能になるという意見が大勢を占めました。
このシンポジウムは、日本地震学会が北海道函館市で行っている大会に合わせて開催し、地震学者およそ500人が参加しました。
地震予知の研究が本格化するきっかけとなった、「ブループリント」と呼ばれる専門家の提言書が発表されてことしで50年になることから、今後の地震予知研究の方向性について議論しました。
この中で、東京大学大学院のロバート・ゲラ-教授は、これまで観測網を強化してきたが地震を予知できた事例はなく、このまま研究を進めても予知にはつながらないと主張しました。
一方、政府の地震調査委員会の委員長などを務めた津村建四朗さんは、地震や地殻変動などの観測はメカニズムの解明につながっているとして、今後も予知を目指して観測態勢を充実させていくべきだと述べました。
このあと行われた討論では、地震が「予知」できるかどうかについては意見が分かれましたが、場所や時期をある程度絞り込む「予測」は、将来、可能になるという意見が大勢を占めました。
日本地震学会の会長で東京大学地震研究所の加藤照之教授は、「地震予知研究は、まだ基礎的な研究の段階だが、実用化に向けて研究を進めていきたい」と話しています。
地震予知研究の50年
今から50年前の昭和37年、日本の地震学者のグループは予知研究の進め方や将来像を記した提言書を発表しました。
後に「ブループリント」と呼ばれた提言書には、「観測網を整備すれば10年後には地震予知に十分な信頼性を持って答えることができる」などと記されています。
これをきっかけに、3年後、国は「地震予知計画」を策定し、本格的な研究が進められることになりました。
その後、昭和51年には東海地方で大地震が起きるおそれがあるという「東海地震説」が発表され、国は、直前の予知によって被害を防ぐための法律を定め、観測態勢を強化しました。
地震予知に対する期待が高まり、ナマズなどの生物の行動と地震との関係を探る取り組みなどさまざまな分野で研究が活発になりました。
しかし、国の予知計画が始まって30年後の平成7年、阪神・淡路大震災が発生しました。
このため国は地震研究の態勢をさらに強化し、世界に類をみない観測網を整備しましたが、去年3月、東北沖で発生した巨大地震を予測することができませんでした。
地震研究に取り組んできた専門家の間からも予知を目指すというこれまでの研究のあり方に疑問の声が上がるようになっていました。