■2012年5月8日 紀伊民報
安全度最高は82カ所減 国想定もとに県が津波避難所見直し http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=231263
和歌山県は8日、内閣府が公表した南海トラフを発生源にした地震被害想定を受けて見直していた津波避難所について、結果を発表した。安全度が最も高いレベル3は計82カ所減った。仁坂吉伸知事は「正確な情報が大切。避難路の整備で安全度が高まる場所もあるので、取り組みを推進していきたい」と話している。
県は東日本大震災を受け、昨年度に防災対策を点検。津波からの避難所を緊急性や安全性から3段階に分けて設定、マグニチュード8・6の東海・東南海・南海の3連動地震を想定した県の被害予測に基づいて、沿岸自治体が避難所の見直しをした。
一方で、今年3月に内閣府が公表した南海トラフを発生源にした被害想定では、県沿岸部の15市町で津波高が10メートルを超えた。2003年の中央防災会議の想定に比べると2倍以上となった地域もあったことから、安全度が最も高いレベル3の津波避難所705カ所について、県は再度の見直しを沿岸自治体に要請、この日、その結果を公表した。
レベル3の避難所は、浸水の危険性がない地域で標高が高く安全な場所。今回の見直しでは82カ所減の計623カ所となった。
地域別では、1市11町の避難所127カ所がレベル3より安全度の低いレベル2に格下げとなった。その中には白浜町の40カ所、すさみ町の29カ所が含まれている。
想定の見直しに伴い、避難路の整備などの新たな対策が必要になるが、県によると、市町村が避難路の整備などに活用できる本年度の補助金事業については、要望額がすでに予算額の1億5千万円を上回っている。このため、補正予算で増額することを検討しているという。
県はこの日、昨年9月の台風12号災害をもとに実施した風水害時避難所の見直しについても公表した。台風12号災害では計50カ所の避難所が全壊や半壊、床上浸水などの被害を受けており、災害時の避難先についても、安全度と緊急性を考慮して3段階に設定した。その結果、避難所数は見直し前の1637カ所から1435カ所に減った。そのうち安全性の最も高いレベル3は782カ所だった。
県は市町村が設定した避難所や避難所の安全度などについて、県ホームページ「防災わかやま」で公開している。