2011年4月14日木曜日

巨大地震が誘発する富士山大噴火

兆候から噴火まであっという間。巨大地震が誘発する「富士山大噴火」の脅威

7日夜、宮城県沖を震源とするマグニチュード7.1の最大級余震が発生し、いまだ予断を許さない日本列島。頻発するこれら余震に目を奪われがちだが、本震から4日後の3月15日、静岡県東部を襲ったマグニチュード6.4の地震が、「平成富士山大噴火」の予兆ではないか?と警戒する声が、専門家の間であがっている。


富士宮市で最大震度6強を記録。静岡県各地で重軽傷50名、建物損壊500件以上の被害を及ぼしたこの「静岡東部地震」。震源は、富士山の真下で、富士山直下型地震としては、観測史上最大規模であった。火山活動と地震の関係を半世紀以上に渡り研究してきた、琉球大学名誉教授の木村政昭博士は次のように語る。


「富士山噴火の原動力となる巨大なマグマだまりは、約20キロメートル下に広がっていると推定されます。そのすぐ下で起きたマグニチュード6.4の地震は、当然このマグマの圧力が原因です。高圧マグマが地殻を急速に押し広げ、出口を求めて活動し始めたということでしょう」


過去の富士山噴火は、いずれも太平洋沿岸の地震活動と結びついて発生している。1707年の「宝永地震」、1854年の「安政地震」、そして1923年の「関東大震災」と、いずれもその年のうちに富士山の火山活動が活発化、もしくは噴火にまで至っている。


気象庁の「火山噴火予知連絡会(予知連)」は、3月22日に緊急会議を開催。巨大地震をきっかけとして富士山周辺で地震が起こったことを認めつつも、それらはマグマだまり内部の流動や火道上昇などによる「火山性」ではなく、あくまで断層破壊が原因だと結論づけた。


だが、小説『死都東京』『震災列島』などの著書を持つ火山研究家の石黒耀氏は、「普通の地震とは揺れ方が違うと感じた。この予知連発表だけで火山活動と無関係と結論づけるわけにはいきません」と語り、警戒を強める。


「予知連が発表した『富士・箱根周辺の地殻変動(水平)』という図を見ると、11日の地震直後から、南麓地域を除いて富士山全体が膨張したようにも理解できます。断層の横ズレだとすると、なぜこんな地殻変動が起きたのか不思議。この図は、富士山のマグマだまり膨張を示しているという説明も成り立ちます」(石黒氏)


約300年前の宝永大噴火では、山麓各地で10日間ほど地震が頻発し、いきなり火を噴いた。兆候が出始めてから噴火までの時間が非常に短いのが、富士山噴火の特徴なのだ。もし、現代において、富士山が大噴火したら……、


「富士山のマグマは粘性が低いのが特徴で、広範囲に溶岩が広がります。さらに厄介なのは、山体崩壊で岩屑が富士山の急斜面を時速100km以上で駆け下り、半径40km以上の市町村が住民もろとも完全消滅の事態になりかねない」(前出・石黒氏)


今後も、富士山噴火につながる観測データを、注意深く見守っていく必要がある。
<週プレNEWS 2011年4月9日>


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