昭和〜平成
花暦・ガーデニング園芸知識・海外旅行・森羅万象・人
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当時はパソコンやインターネット、携帯電話もない時代だった。ワープロや写植、本と経験と人を頼りに月刊機関誌Floretを発行した。
当時の印刷物を見ながらパソコンで文字を打ち、スキャナーで絵をスキャンして、昭和〜平成をネットに残します。永遠はない、60歳の終活。
22歳から35歳までは、週末はスキーなど国内旅行、貯金が100万円を越すと美術・植物を目的にヨーロッパなど海外に行き、100万円を使い果たす生活を繰り返した。半分以上が航空運賃や交通費の時代。
昭和〜平成の数年間に制作したFloretから抜粋した12ケ月と今も私を支えてくれている方々の終活まとめです。
終活60歳Floret 12ケ月①1月・2月・3月
60歳。
たぶん、今まで生きた時間と同じだけ生きることは不可能だろう。
60歳から、高年齢者らしい。
年金は繰上げをしないと65歳から、国民健康保険料は70歳まで払うことになっている。働いた場合、年金がカットされるケースもある。
離婚して資産がゼロで老後をスタートする場合など、60歳からの体力・精力・気力など・・・
この平成の日本において、60〜70歳の10年を生き抜くのは、人生最大の過酷な時間を過ごすことになりそうだ。
〜終活60歳Floret 12ケ月1月〜
0〜5歳:村瀬 倭子さん・竹井 晃一郎さん
犬・猫・金魚・小鳥・ゴム手袋・積木さん
(1月の花・スイセン)
庭師「チャンス」
石嶋 智さんからもらったCD「チャンス」という1980年制作の映画を見た。
主演ピーター・セラーズ扮するチャンスは庭師。
テレビだけが楽しみで読み書きが出来ず、車にも乗ったことがない彼が、主人の死から初めて街に出る事になる。
車との接触事故がきっかけで、イブ・ランド(シャーリー・マクレイン)とベンジャミン・ランド(メルビン・ダグラス)夫婦と出会う。
チャンスは庭の話しかしないのだが、その話に大統領(ジャック・ウォーデン)他の政治家た感銘を受けていく。
随所に世俗批判も盛り込まれ、コミカルの域を脱していた。
ラストシーンでは、湖の中に彼が入っていく。
しかし彼は沈まないで水面を歩いていった。
「成功」を意味していたのだろうか。
大統領になったとしても、春になったらチャンスはまた庭師に戻り、花を木を土を水を触れるに違いない。
石嶋 智さん
2011.6.18
17日午後10時55分ごろ、千葉県印西市小林大門下の市道交差点で、歩いて横断歩道を渡っていた近くに住む会社員、石嶋智さん(44)が右から来た軽乗用車にはねられ、腹部を強く打つなどして、まもなく搬送先の病院で死亡が確認された。
(花暦・ロウバイ)
★花暦
ロウバイ・臘梅・蝋梅・ろうばい
その香りをもって、自らの存在を知らせる花、ロウバイ。
冷たい風の吹くこの季節に、臘質の黄色の花びらを重ね合わせ、花の少ないこの季節の彩りでもあります。
中国生まれで江戸時代中期に日本にやって来ました。
漢名を音読みして「ろうばい」と呼ばれるようになったという説や、
花弁の色が蜜蝋に似ているから、また、臘月(陰暦の12月)に咲く梅に似た花といった説があります。
また、中国から渡来した花ということで、「唐梅」とも呼ばれます。
ところで、この季節に咲く花は少なく、周りを見渡すと、葉が落ちた木々、枯れてしまった草花・・・
しかし、この季節、植物たちは、私たち人間には見えないところで、春に向けての準備を着々と。
芽吹いたり、花開くために。
もちろん、土に還っていく植物もありますが、死んでしまったわけではなく、眠った状態です。
春という未来に向けて冬という今を生きている。
未来は自分の中にあるぞ!
時間に追われて大切な事を忘れるなよ!
冬空の澄んだ青にも溶け入らない凛とした黄色の花・ロウバイが、そっと、教えてくれました。
★海を越えて
古代ローマ時代からの温泉保養地
ドイツ・バーデンバーデン
酸性雨で沢山の樹々が枯れているというシュヴァルツバルト=黒い森に行った。
南北160km、東西25〜60kmに及ぶこの森の北に位置するバーデンバーデンに一泊することにした。
この街は温泉保養地で、19世紀からは上流階級の集まる社交場として栄え、2度の世界大戦の被害も受けていない美しい街だ。
「フリードリヒス・バード」「カラカラ・テルメ」の2ケ所の温泉や高級カジノのある「クアハウス」も中に入らなかった。
ズックとリュック姿では気が退けた。
その代わりにオース川に沿って2〜3km続く庭園「リヒテンターラー・アレー」を散策した。
テニスコート、プール、馬場、バラ園などに人々が集い、温泉療養にも保険がきくドイツの豊かさを感じた。
私は、夕陽で赤く染まったレストランでソーセージとジャガイモをつまみにビール療養だ!
〜終活60歳Floret
12ケ月2月〜
5〜10歳:瀬谷 明子さん・田後
和子さん
永滝 浩幸さん・新免 邦夫さん・宇佐美
徳一さん
(2月の花・梅)
「新しい」
新しい年が始まり、新鮮な気分を持続している人がいれば、年末年始や正月も関係なく、淡々と変わりなく生活する人もいる。
人、様々だ。
「新しい」という言葉は、例えば「ニュータウン」のようにオールドタウンにも使われたままで時として曖昧に使われることも多いが、「新しい」から心が変化し、活力が溢れれば、それに越したことはないだろう。
身の回りのものを新調したくなる時がある。
ネットで探し求めて、やっと届いた物には後悔することの方が多い。
物が溢れんばかりの街々を歩き廻ってみても、なかなか好みの物が見つからない。
一日歩き廻って家に持って帰ってきたのは、食料品と本と沢山の疲れだけ。
情けない。
今日見た物を購入しようと決心し、再度、店を訪れても同じ物がない事もある。
私にとっては、物に限らず「新しい」は、魅力的。
すぐに古くなるのだが。
(花暦・梅)
★花暦/梅
春告草、風待草、初名草、鳥梅、宇梅、ムメ・・・
これらは全て、ウメの異名。
多くの名で呼ばれ、観賞用としてだけではなく、梅干し、梅酒、梅酢など食生活や精神的な面でも人々を魅き付けてきた梅。
中国から薬用植物として渡来した梅の加工品は、鳥梅(うめい)と呼ばれます。
青い実を燻製にした物で、熱冷まし、咳止め等の薬効があります。
また染色の際には、紅紫の発色剤としても使われていたようです。
中国では、国花として、花の中の王とされる梅ですが、日本でも、桜と国花の座を争ったという話もあります。
菅原道真との関係も深く、天神様の神紋も梅鉢です。
梅の木に生える苔をアルコールで発酵させると、目の覚めるような桃色の染液を抽出することが出来ます。
季節ごとに、梅を見、香りを嗅ぐとその染液で糸を染めて見せてくれた人やその頃の日々も甦ってきます。
(梅・熱海梅園)
(花暦・カタクリ片栗)
★花暦/片栗
まだ寒い早春、紫斑のある葉の元から伸びる花茎に、まるで踊っているかのようにも見える花を咲かすカタクリ。
カタクリは、江戸でブンダイユリ、京ではハツユリと呼ばれていました。
うつむき加減に咲く姿は確かに百合に似ており、ユリ科に属します。
カタクリの名前の由来は、万葉時代に使われていた「堅香子(かたかご)」が転じたとか、花をつける前に地表に現れる一枚の葉が、栗の子葉に似ているからといった説などがあります。
片栗粉は、元来、カタクリの地下の鱗茎から採るデンプンですが、量産が不可能なため、片栗粉=ジャガイモ粉となっています。
大伴家持は万葉集の中で、カタクリの花が咲く情景を詠っています。
もののふの 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花(巻19—4143)
泉に水を汲みに集まった娘らの初々しさと、傍らに咲くカタクリの姿を重ね合わせたのでしょうか。
娘らの賑やかなおしゃべりに耳を傾けているかのような花姿も浮かんできます。
花言葉は、「淋しさに耐える」
(カタクリ/深大寺野草園)
★海を越えて
アルプスに囲まれた湖水地方
オーストリア・ザルツカンマーグート
Salzkammergut
ジュリー・アンドリュース主演の映画「サウンド・オブ・ミュージック」を知らない人はいないだろう。
ザルツブルクの街とザルツカンマーグートがロケ地だ。
ザルツカンマーグートは、2000m級のアルプスに囲まれた大小70以上もの湖がある500〜800mの丘陵地帯。
湖岸付近には小さな村々が点在する、何とも美しい景観。
クリムトが避暑に利用したアッター湖、シューベルトやブラームスが暮らしたグムンデン、モーツァルトの母の生家があるザンクト・ギルゲン、サウンド・オブ・ミュージックのトップシーンとピクニックの撮影がされたシャーフベルク山、結婚式のモントゼー教会、などなど。
私が訪れたのはタンポポが満開の春。
青い空まで連なる一面黄色の丘々の空間を一時間近くもバスは走った。
ザルツブルクでは、現代のサウンド・オブ・ミュージックも鑑賞した。
♪ド〜はドーナッツのド〜♪レ〜は♪と、童心に返った時間もあった旅でした。
タンポポを食べた牛から採れたミルクは、とても美味い。
〜終活60歳Floret
12ケ月3月〜
10〜15歳:藤原 照実さん・宗安 正博さん
池渕 ひとみさん・三木 由己さん・松岡
宏さん
(3月の花・チューリップと蝶)
★ガーデニング園芸ミニ知識
冬の間、室内で守り、花や葉を楽しませてくれた植物たち。
2月後半からは春を感じるような日が訪れ、直射日光に当てたくなりますが、ちょっと待ってください!
徐々に慣らす!が基本です。
室内の暗い場所から明るい場所へ、窓から遠ざけていた植物は窓近くへ、そして、風のない暖かい日の午前中に外に出し、日光浴と水やり。
観葉植物は。ホコリ落としも兼ねて、葉にシャワーか霧吹き。
鉢のプリムラ類の花が咲かなくなっていたら、一回り大きい鉢に植え替えます。
寒さに強く屋外でも育つパンジーやビオラは日光不足で開花しませんので、他の植物より先に、屋外に慣らしていきます。
また、冬場でも花を楽しみ続けるには肥料が重要です。
植物が花を咲かすには、沢山のエネルギーを必要とするからです。
花が大地に向かう時、花ごと落下する椿、花びらをまず散らす桜、茎ごと花を地面につけるパンジー。
(花暦・ツバキ椿)
★花暦/椿
日本独特の侘び・寂びを感じる椿。
100品種以上ものツバキがありますが、心の中に咲いているのは、深い緑の葉に紅色の花を咲かすヤブツバキではないでしょうか。
時を遡って、万葉時代。
椿は霊力を持つ木として、邪気を払う杖を作ったり、白椿が吉兆として天武公(皇)に献上されるなど、信仰的な意味合いもある木です。
また、その頃、椿は万葉集以外の書物には記載がなく、歌の題材にも扱われないほど崇められる存在でした。
そんな椿が美の対象として位置づけられるようになったのは、鎌倉時代からとのことです。
禅宗文化のもと、茶道や華道の簡素な趣味を好む人々が好み、庭木をして植えたり、立花として用いたとされます。
現代なら、シンプルライフに必要な花といったことでしょうか。
今や世界中に根付き、栽培され、日本に逆輸入もされる椿。
とても椿だとは思えない品種も日本のアチコチで目にします。
★海を越えて
大地を埋め尽くすチューリップ
オランダ・リッセ
Lisse
オランダといえばチューリップ。
チューリップといえばキューケンホフ公園。
アムステルダムから南に約25mのリッセ市にキューケンホフ公園はある。
周辺は、大きな色紙を張り合わせたようなオランダ最大の球根栽培地帯で、水路で区切られている。
キューケンホフ公園は、1949年、14世紀に建てられたキューケンホフ城の跡に開園した。
600万以上のチューリップ、ヒヤシンス、ムスカリ、スイセン、アイリスなどの球根花と樹木や池や彫刻などと絶妙なバランスで配置され、温室・展示ホール・レストラン・風車もあった。
園内のどこに立っても、どこを向いても、美しさに手抜きはない。
量も圧巻だ。
球根を、花を、景観を、知り尽くした技。
開園時期は、3月末から5月末までの2ケ月間のみ。
10ケ月を費やして完璧な公園を創り上げる。
10年に一度のフロリアードもそうだが、日本では有り得ない。
夜もカーテンを閉めない家々にびっくりしたアムステルダムでは、熊井明子先生から教わったポプリを創ろうと、花屋で切花を買い集め、花を乾燥させながら、ヨーロッパの旅を続けた。
オランダに限らず、どこに行っても沢山のチューリップ。
日本に帰る頃にはチューリップを嫌いになりかけたのも事実。
Keukenhofキューケンホフ公園
★森羅万象・虫
「虫」というとどんな虫やどんな事を思い浮かべますか。
一般的には、クモ類やダンゴムシ、ムカデなどの小動物と昆虫が「虫」と呼ばれます。
昆虫は約4億年前に地球上に現れ、現在生息しているほとんどの種が、100万年以上前から変わらないという。
その種類は80万種を超え、全動物の4分の3を占めているとか。
地球にとって如何に重要かは数字が示す通り。
虫と植物との密接な関係には、食草や擬態などがある。
食草は、虫が決まって食べる草木のことで、モンシロチョウはキャベツなどのアブラナ科、アゲハチョウはカラタチなどのミカン科、ササキリはイネ科、など。
擬態は、虫が身を守り、捕食するために、形や色を植物に真似ること。
幹にぴったりと羽を広げるガ、枝と見分けがつかないナナフシ、葉にそっくりなコノハチョウ、カレハバッタ、花に潜むハナグモ、ハナカミキリ、など。
ダンゴムシやワラジムシなどの土壌に住む虫は、落葉や動物の死骸を土にし、自らも土と化し、それらは植物の肥料となる。
カメムシがイヤな匂いを発するのは、危険が近づいた時で、卵や幼虫を守るためだという。
「虫が好かない」と決めつけないで、時には、もう少し近づいて虫たちの営みを目にしてみませんか。
Flower Revolution
どんなに文明が進歩し
私たちの生活が変わろうとも
忘れてはならないものがある
森や川
空の青さ
雲の流れ
陽光のきらめき
頬をかすめる風の柔らかさ
・
花
・
みどり
・
限りなく優しいものたち
終活60歳Floret 12ケ月②4月・5月・6月
「いのち」
(作詞 藪田義雄・作曲 下総完一)
1、野の花の 小さな命にも 仏は宿る 仏は宿る
朝影とともに来て つつましい つつましい
営みを 与える 同じように
2、野の鳥の 幼い命にも 仏は宿る 仏は宿る
涼風とともに来て 生きる身の 生きる身の
喜びを ささやく 同じように
3、白露の はかない命にも 仏は宿る 仏は宿る
月魂(つきしろ)とともに来て ひと夜さの ひと夜さの
安らぎを 教える 同じように
とりあえず、生かされている。
生きなくてはならない。
土に肌で触れる
花の香りを嗅ぐ
風の音を聞く
旬のものを口にする
様々な自然を見る
〜終活60歳Floret 12ケ月4月〜
15〜20歳:黒石 肇さん・高橋 寿美子さん
木村 清さん・庄司 誠さん・西山
伸二さん・今村 智行さん
和久 久美子さん・厨子 康臣さん・臼井
正二さん・富田 久美子さん
(4月の花・桜とサクラの花びら)
★花暦/桜サクラ
「日本の花」と言われて、桜を思い浮かべる人や「好きな花は」と聞かれれば、桜と答える人は多い。
花冷え、花雪洞(ぼんぼり)、花篝(かがり)‥花はすべて桜のことです。
桜月夜は、桜の咲く朧月夜(おぼろづきよ)のこと。
夜の花見は、ライトアップされた桜の下で騒ぐのも楽しいですが、おぼろげな月の光に照らされる桜の観賞もいいものです。
日本人にとっての桜は、時代背景とともに変遷を辿り、現在に至ります。
古代の人々は山に咲く桜の花の咲き方に、その年の稲の実りの豊凶を占い、武士や軍国主義の時代には、生命に対する考え方の象徴として、人々の前に掲げられたといいます。
「散りゆく瞬間に無常を思う」
散り際や散りゆく様、散った花びらも美しいと感じる桜。
その情景に思いを重ねる日本人独特の感性は、平安時代からとされ、心に刻まれ続け、現代の日本人の根底に宿ったのかもしれません。
やっと咲き始めた時、落葉、花も葉もない枝も愛おしい桜です。
(花暦・桜サクラ)
三島市の国立遺伝学研究所の構内には260種余りの桜の品種が集められていて毎年4月上旬の1日だけ一般公開している。
(静岡県三島市・国立遺伝学研究所)
DDBJ; DNA Data Bank of Japan
★森羅万象・虹
普段の空に、ある日ある時突然、幻想的な美しい光の現象を目にすることがある。
大気中に浮遊する水滴によるのは虹・コロナなど。
氷晶によるのは太陽柱、幻日など、蜃気楼や逃げ水は、地面付近と地表面の温度差によって発生する。
オーロラは、夜側の宇宙で加速された電子が、大気の分子に衝突して空気を光らせる現象だという。
虹は、雨上がりや天気雨の時によく見られる現象で、自分の後ろが晴れていて、前方の水滴に太陽光線が当たり水滴の中で光が屈折され、その光が特に強くなる時だけ虹になる。
一回だけ光が屈折した虹は、主虹(しゅこう)、二回屈折した虹は、副虹(ふくこう)と呼ばれます。
虹の色は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色で、主虹の場合は、赤が一番外側。
副虹は紫が一番外側になり、色の配列が違う二本の虹が見える時もある。
虹は、噴水などでも見られますが、簡単に自分で作ることもできます。
天気のいい日に、太陽を背にして霧吹きで作ったり、洗面器などに鏡を入れ、壁などに映すと平らな虹も楽しめます。
いずれも小さな虹ですが、その美しさとともに昔見た虹やその時に一緒に見た人たちの記憶が戻ってきます。
真剣に虹を追いかけたり、虹の橋を渡った夢を見たことありませんか。
4つのクリスタルガラスを窓際の外や内に吊るしている。
晴れた日にはアチコチに移動する。
太陽が差す時間に、虹と遊ぶ至福の時間。
虹を見た時の、あの幸せな気分は今も全く変わらない。
(花が好き・ポピー)
★海を越えて
イギリスの庭園は恋人たちのもの
イギリス・シシングハースト
ロンドンを南下するとケント州の緩やかな丘陵に田園地帯が広がる。
シシングハースト・カースル・ガーデンは、そんな風景の畑の中にポッカリ現れるオアシスだ。
クレマチスの紫の壁、カモマイルの香るベンチ、タイムが織り成す絨毯、ワイルドフラワーの散歩道、果樹園、高い生垣で仕切られた白い花だけのホワイトガーデン、ローズガーデン、コテージガーデンetc.
花たちが究極の美を奏でる。
イギリスでは小規模の庭園だが、入場者数は多く、現在は、ナショナル・トラストが所有・管理している。
シシングハースト・カースル・ガーデンでは、一組の夫婦のことを忘れてはなるまい。
庭を設計した夫サー・ハロルド・ジョージ・ニコルソンと、植栽を担当した妻ヴィタ・サックヴィル=ウェストだ。
二人は、1930年代に荒れ放題だったここを買い取り、庭を完成させた。
二人の物語は小説や映画にもなっている。
シシングハースト・カースル・ガーデンの現在は、ヴィタとハロルドの孫のアダム・ニコルソンと妻のサラ・レイヴンに引き継がれている。
〜イギリスの庭は、恋人たちのために作られた〜という。
シシングハースト・カースル・ガーデン
Sissinghurst Castle Garden
〜終活60歳Floret
12ケ月5月〜
20〜25歳:吉森 光則さん・大日向 吉治さん
柳田 由美子さん・佐藤 弘吉さん・滝田
納言さん・松岡 広喜さん
渡辺 聡子さん・茂呂 和子さん・善明
好高さん・田仲 英治さん
(5月の花・ショウブsss菖蒲)
★ガーデニング園芸ミニ知識・百花繚乱
新緑が空を狭め、花たちが土を覆い尽くす季節。一年間の作業が報われる5月がやってきました。
しかし、5月は意外と五月晴れの日は少なく、気温の変化の激しい時期ですので、連休中などの管理も万全を期す必要があります。
鉢花や観葉植物は室外に出し、水やりと共に直射日光に当てますが、最初の1〜2週間は、午前中の1〜2時間程度だけにし、序々に日光に慣らします。
また、品種によっては日陰を好むものもありますので、一鉢ごとにその品種に合った場所に置くようにします。
冬の間に傷んだり、根づまりぎみのものは植え替えをして、土を更新してやりましょう。
その際には鉢にこだわったり、寄せ植えにも挑戦してみてください。
園芸店などには夏野菜の苗も出回りはじめます。トマトやキュウリ、ピーマン、ナスなどが手軽に育てられるもので、もぎ立ての新鮮な美味しさを味わうことができます。
4月に咲いたユキヤナギやレンギョウなどには、お礼肥を施す時期です。
4月に種子を蒔いた草花は、元気に育っていますか?
移植は本葉の出始めから2〜3枚の頃、定植は本葉6〜8枚の頃が目安です。
私の庭では、昨年から手間をかけた花たちが、もうすぐ咲きそろいます。
しばし作業の手を安め、青と紫色に拘った春花壇の1年間を振り返りつつ花々を眺めました。
パンジー、ビオラ、ワスレナグサ、シナワスレナグサ、ネモフィラ、ボリジ、
エキューム、ヘスペリス、キャットミント、ヤグルマギク、フラックス、
シラン、セイヨウオダマキ、ギリア、ルピナス、ニゲラ、ブルースター、カンパニュラ、チドリソウ、デルフィニウム・・・「花って美しいなあ!」
(花暦・フジ藤)
★花暦/藤フジ
藤房がやさしい空にする五月(積州)
豊かな花房を春風に揺らす藤。遠目に見ると、空気までもが藤色に染められたようです。
歌舞伎や能の舞台、古の人々が詠んだ歌の中にも沢山登場します。現在よりも藤がもっと身近にあった時代には、薬草として種子や根が使われたり、しなやかで強い性質を持つ蔓は、物を縛ったり、編んで籠にする等、生活にとけ込んでいました。
藤の茎を紡いでとれる荒い繊維で布を織る「藤織り」も行なわれ、その衣は「藤衣」と呼ばれていました。
袖を通す感触はどのようなものだったのでしょうか。
「フジ」という名前の由来は、吹き散るように咲く花の姿を表現したとされます。
藤房の下に佇んだ時、どんな気持ちになりますか。
一つ一つの花はマメ科の花らしく可愛らしいのに、時に雲のようにも、ひとたび風が吹けば海を渡る波のようにも姿を変え、香りとともに不思議な時間が流れていきます。
そして花が終われば、人々が木陰を求め憩う藤棚へと変わっていきます。
山に自生する藤を見て感動したのは中学生の時。
初めての油絵に描きとどめた。
★海を越えて
画家たちが住んだ村
フランス・バルビゾン
教科書で見た「落穂拾い」。
あれからずっとバルビゾンに恋い焦がれていた。
パリから間もなくすると地平線まで続く菜の花畑。
乳白色を帯びた様々な緑。
イル・ド・フランスの春に酔い痴れる。
そして、小さな村はパリから東南へ約65km、フォンテーヌブローの森の手前にあった。
19世紀、100人を超す画家たちが住み、バルビゾンの光や大気をキャンバスに取り入れた。
それは画期的なことで、印象派を先んずるバルビゾン派として歴史を作った。
中でも「落穂拾い」「晩鐘」「種まく人」などの作者、ジャン・フランソワ・ミレーは誰もが知る画家だろう。
35歳から60歳までの25年間ここで暮らし、農民生活を描き続けた彼は、今もこの村に眠る。
会いたい!ミレーに会いたい!その衝動に駆られてミレーを探しまわった。
テオドール・ルソーと仲良く並ぶ墓石にはツタが絡まり、一輪の薄紫色のバラが置かれていた。
バルビゾン・・・そこは今も、ミレーの絵の世界そのままの村だ。
★森羅万象・土
約4億4千万年前、ゼニ苔に似た地衣類植物が、海から陸に上がった。
それから、岩石との戦いを繰り返し、小動物と共に土づくりが始まった。
水と温度も分解作用を手助けし、生物の生命維持にも重要な役割を担ってきた。
土の大部分は、鉱物粒子を主体とする無機成分と腐食を中心とした有機物、そして水と空気が存在する。
つまり、「土は、岩石や有機物が分解し、大小様々な粒子となり堆積物ができ、そこに水に溶けた物質が流れ、沈殿、吸着されて出来る」。
土に供給される有機物は、落葉・落枝・倒木・死んだ根・動物の排泄物及び死骸、微生物の死骸など、あらゆるものが土に還る。
土中には沢山の生物も棲息している。
ミミズやヤスデなどの小動物、0.01mm以下の原生動物、菌類や細菌などの微生物。肥沃な畑を例にとると、1gあたり数億のバクテリアと数千万の放線菌、数百万の原生動物、数十万の藻類と菌類が存在するという。
また、昆虫の95%以上が、幼年時代を土の中で暮らすらしい。
都市においては、土に出会う機会は少なく、キタナイものや邪魔なものといったマイナスイメージの方が強い。
動植物や気候などによって刻々と変化する「生きている土」。
作物などを生産している耕地は、地球の陸地のわずか9%。
時には、土を慈しみ、両手に包んでみませんか。
〜終活60歳Floret 12ケ月6月〜
25〜30歳:小林 麻美さん・木村 博さん
中島 邦彦さん・玉川 幹雄さん・日野
禎子さん
坂本 正さん・小川 恭子さん・貫
恒実さん
(6月の花・sss紫陽花アジサイ・雨・虹・カタツムリ)
★ガーデニング園芸ミニ知識・梅雨の前に花壇の整理を
花たちが華やかに乱舞する花壇にも梅雨がやってきます。
梅雨から夏にかけては、高温多湿で病害虫が発生しやすく、しかも植物たちの生長が旺盛で、株間を十分にとる手入れが重要になります。
種子を採集しない一年草で花が終わったものは抜き取り、宿根草は切り戻して、お礼肥を施します。
秋植え球根植物のチューリップやヒヤシンス、クロッカスなどは下旬頃から掘り上げましょう。
葉が大部分枯れた頃が適期で、風通しのよい日陰で十分に乾燥させ、秋に植込みます。(スイセン:2〜3年は植え替えない。スノードロップ、ユリ、アマリリスなど夏の休眠期に根が残っているものは掘り上げない。)
手入れで空いた所には、土づくりをした後に夏から秋に苗を植付けます。
6月は、鉢花、観葉植物、アジサイ、クチナシ、サザンカなどを挿し木で増やす最適な時期でもあります。
今年生長した新しい枝先を10cm前後に切り、下半分の葉を取り除き、2〜3時間くらい水に浸した後、浅い箱か平鉢に鹿沼土・川砂・赤土などに差して、半日陰に置いて乾かさないように管理します。
発根剤を使用すると発根・活着率が高くなります。
宿根ルピナス、オダマキ、キキョウ、デルフィニウムなどの宿根草やプリムラ類の種子蒔きも今月です。
豪雨や高温多湿の夏を越すためには、直播きよりは箱やポットに蒔き、育てた方が無難で、秋に定植します。
(花暦・クチナシ山梔子)
★花暦/山梔子クチナシ
風が運ぶ香りにふと足が止まる・・・
初夏の訪れを告げるクチナシ。
その白い花と深く甘い香りで、春の沈丁花、秋の木犀と並んで、季節を感じさせてくれる花です。
クチナシは日本が原生地だからなのか、欧米原産の花にはない趣があるように思われます。
名前の由来は、秋に実る果実が熟しても口を開かないことによるとか。
クチナシは、観賞用としてだけではなく、花びらは茶などの食用、実は民間薬として、解熱、止血、打ち身などの症状に有効であるとされ、実を砕いた汁は、食品や衣類の黄色の染料として、すでに飛鳥時代には用いられるなど多目的に使用されてきました。
色名の「やまぶき」は、クチナシで染めた色を指します。
★海を越えて
空を貫く神秘的な街
スペイン・トレド
フランスからスペインに入った。
豊かな田園風景が、岩だらけの山々と赤い大地の荒涼とした景色に一変する。ナポレオンの「ピレネー山脈を越えるとアフリカ」という言葉を思い出す。
トレドはマドリッドから普通電車で約1時間半。
三方をタホ川が流れ、自然の要塞として古代から開け、断続的ながら6世紀から1560年まで1000年もの間、スペインの首都として栄えた。
中央にそびえるゴシック様式の大聖堂、最も高い丘に位置する城・アルカーサル、エル・グレコの「オルガス伯の埋葬」があるサント・トメ教会、花と木で埋まったエル・グレコの家。
エル・グレコは20世紀に入ってから再評価されるようになった画家で、神秘的な空間に異様に細長い人体を描いた宗教画が特徴だが、それは、この街が放つものと似ていた。
トレドの狭い路地を歩いた後に、タホ川を渡りトレドの全景を目にした。
時間が止まった。
大地から舞い上がる風に乗って、トレドと一緒に太陽のもとに昇天しそうになった不思議な感動は忘れられない。
★森羅万象・雨
梅の実が熟す頃に降る雨。
梅雨は、太平洋からの暖かく湿った空気と北からの冷たい空気の接触面に前線ができ、停滞して、特に西日本に多くの雨を降らせることが多いが、そうではない年もある。
熱帯地方の雨が「暖かい雨」と呼ばれるのに対して、日本の雨は「冷たい雨」と言われる。
熱帯地方では、降水粒子が成長する上空の空気が0℃より高いが、日本の場合は、夏でも0℃以下のため、雪が融けて雨になるので冷たい雨になる。
雪よりも落下速度が速い雨は、絵画では線として表現されることも多いが、小さい雨粒は球形で、大きくなるにつれて楕円形となり、空気抵抗によりあんパン型に変化し、落下速度も速くなる。しかしながら、直径5mmを超えると速度は変わらず、直径7mm以上になると雨粒は小さく分裂するらしい。
外では、紫陽花がグングン大きくなってきた。
Flower Revolution
花は
なんてきれいなんだろう。
人のためになんか咲いてないのに
きれいだ。
空や街がもっときれいになれば
きれいな花は
もっともっときれいになる。
終活60歳Floret 12ケ月③7月・8月・9月
自然の中で生活を耕してみようよ。
五感を精一杯働かせて。
森へ入って木を切り
家を建てよう。
田の神に豊作を祈り
田を作ろう。
畑を拓いて
野菜の種子を播こう。
羊を飼って
糸を紡ぎ
花びら染めの布を織ろうよ。
土をこねて
薪を燃やし
野の草を盛るお皿を焼こう。
人と自然が輪になって
タンポポのワインで
君達にカンパイ!!
(作:天野 剛志さん)
〜終活60歳Floret 12ケ月7月〜
30〜35歳:定包 澄子さん・篠田 こう子・正臣さん
吉田 太さん・高取宏美さん・山越 悦子さん・山崎
武久さん
(7月の花・ラヴェンダー、花畑)
★ガーデニング園芸ミニ知識・花の端境期にも花を楽しむ
梅雨から夏にかけては、春の花と夏の花の端境期で花の少ない季節ですが、梅雨に強い花もあります。
例えば、アスチルベ、アンチューサ、コレオプシス、スイセンノウ、ストケシア、ベロニカ、ペンステモン、リアトリス、ルドベキア、宿根サルビア、ホタルブクロやギボウシなども梅雨のうっとうしさを一時消してくれるような存在です。
梅雨明けになると太陽は10〜12万ルクスと強い光になり、人だけでなく、5万ルクス位でも十分育つ植物にとっても過酷です。
葉焼けを起こす前に鉢物は半日陰に移動したり、すだれ等での遮光が必要です。1日に2〜4時間位しか日光が当たらない半日陰でもアゲラタムやナスタチウム、ヘメロカリス等が花をつけ、インパチェンスやムラサキツユクサ等は、日光が当たらなくても明るい所であれば育ちます。
春まき一年草は、十分に根を張らすために夏になる前に植付けます。
サルビア、ケイトウ、黄花コスモス等の秋に定植する花の種子蒔きは7月上旬までが適期です。
カシ類やヒバ類等の常緑樹の整枝・剪定も今月中です。
ハナショウブの株分け、アサガオ等のツル性植物の誘引も忘れずに。
そして、何といっても7月は水やりが重要な時期です。
日中は避けるのが基本で、乾燥が激しいものは朝と夕方に水をやります。特に鉢物は注意しましょう。
(花暦・アサガオ朝顔)
★花暦/朝顔アサガオ
朝顔は、その名のとおり、朝を彩る花です。
暑い一日が始まる夏の朝の日差しの中で、透明感のある花がぱっと開いた顔のような姿は、清々しい気分にしてくれます。
「朝顔につるべとられてもらい水」は、井戸のつるべに絡まっている朝顔が愛おしくて取り除くことが出来ずに、隣の家に水をもらいに行った。
という加賀千代女の句などのように、古くから人々を魅了してきた夏を代表する花の一つです。
襖絵にもよく描かれ、江戸時代には朝顔園芸が盛んになり、品種改良によって変化に富んだ朝顔が数多く生まれました。
朝顔の原産地は不明ですが、ネパールなどに自生しているものと比べると、私たちが目にする朝顔は、花が随分大きくなっているようです。
先日、小学校のグラウンドの脇を通りかかったら、朝顔の鉢が沢山並んでいるのが見えた。幼い頃の記憶が甦った。
母がリンゴ箱に種子を蒔き、父が支柱を立て紐を張る姿も思い出した。
川や野山で遊び疲れた夏休みの午後、井戸水で冷やしてくれたスイカが楽しみだった。
朝顔の長く伸びた影に皆集まって食べた。
<記憶>
人は記憶の中に、起こった出来事の背景として、その場の空気や人の言葉や音や、その時自分を取り巻いていたものを溶け込ませて、心に仕舞い込みます。そして、記憶の糸口となるようなものに出会った時、一つの感覚的要素がその瞬間を鮮明に心の中に呼び戻し、忘れていたはずのことを思い出すことがあります。
★海を越えて
クレオパトラとヴィーナス
エジプト・デンデラ
1日目はピラミッド・2日目はスフィンクスを相手に2晩徹夜したカイロから夜行列車でルクソールへ。
ナイル河の両側には緑地が続き、その外には砂漠が広がる。
あとは青い空だけ。
ハトシェプト女王葬祭殿、ルクソール神殿、アメン大神殿、そして18歳でこの
世を去った少年王ツタンカーメンも眠る王家の谷など、時間を超越した空間を歩いた。
デンデラには、クレオパトラ7世が生きたプトレマイオス時代(B.C.304~31)に再建されたハトホル神殿がある。
ギリシャ人はヴィーナスと同一視したハトホル女神が刻まれた列柱、天体図などや南壁には、巨大なクレオパトラのレリーフ。
シーザーとの間に生まれたプトレマイオス16世カエサリオンと並んだ像は、今も太陽を浴びる唯一のクレオパトラだ。
ハトホル神殿の屋上に出てみた。
周りの遺跡は砂と化しながらも、生命や時間を克服し永遠を求めたエジプト人の心が生きている。
しかも、肉体と精神が合体し再生しようとするパワーが、起伏を作っていくようでならなかった。
★セミ
<鳴いているのは雄。その声に雌が近づき交尾。卵は枯れ枝などに産み込まれ、1〜10ケ月で孵化し、木を降りて地中に潜ります。根から樹液を吸って成長し、脱皮を繰り返します。2〜17年後の夕方、また木に登り、朝方には成虫になります。>
昆虫と植物との密接な関係の一例でもあるが、過酷な運命を辿るセミもいる。
土の中で何年も過ごした後のある日。夕方を待ち、思い切ってやっと初めて空を見上げた。
が・・・
木に登れなかったり、登れても羽化出来なかったり、成虫になっても鳴けなかったり、飛べなかったり、飛べても何かにぶつかったり・・・
それらは、土中で体力を使い切ってしまったセミたちが多いという。
空を見ずして土に還ったセミよりは長生きしたのだが・・・
特に冷夏の年は、セミの死骸を多く目にする。成虫であったり、羽化の途中のセミも。
そんな年は、雨の日や真夜中の声が一層悲しそうに聞こえる。
久しぶりに晴れた日、アブラゼミが私に体当たりして死んだ。
その瞬間、「天変地異を起こしているのは、お前たち人間だ!」そう聞こえた気がしてドキッとした。
<成虫になれたセミが生きられる寿命は約2週間>
★森羅万象・海
地球の表面積の約71%が海。
陸地の平均の高さが約900mに対して、海の深さの平均は約4000m。
広大で深い海。
波は風で起こり、潮の満ち干は、月と太陽の引力で引き起こされることや海綿が動物であることは習った。
クジラが母乳で育つことや瞬時に体の色を変える魚のことも知っている。
しかし、海の調査の歴史は浅く、知らないことの方が多いという。
海と人類とのつきあいは、これから深まる。
水産資源、石油・塩・水素・真水・金属鉱物・・・、エネルギーとしての利用も増えていくだろう。
「遠い未来には、人間が海中で生活するようにもなるかもしれない。」
陸が海に飲み込まれるような地球の大変化が起こり、陸で生きられる可能性が少なくなってきた時、人類が絶滅しないとするならば、世代を重ねながらヒレを持ち、エラを持ち、人魚となり、海に戻るだろう。
(その前に違う星に移住しているかもしれないが。)
そんなことを想像しながら、伊豆の海で貝殻と共にゴミを拾い集めた。
♪海は広いな〜大きいな〜♪
〜終活60歳Floret 12ケ月8月〜
35〜40歳:松浦 摂津子さん・白石 源次郎さん
加藤 則雄さん・長谷川 清美さん・高坂
麻衣子さん
宇土 巻子さん・藤門 弘さん
(8月の花・ヒマワリ・ツバメ)
★ガーデニング園芸ミニ知識・真夏の暑さから花を守る
猛暑の8月。
弱りがちな植物のためには、水やり、草取り、日除け、支柱立て等、熱帯夜の睡眠不足や夏休みの長期外泊も禁物の忙しい日々です。
来年の春に花を楽しむパンジーやデージー等は、8〜9月に種子を蒔きますが、高温で育ちにくいので、箱蒔きにし、雨が当たらない風通しのよい所で管理します。
初夏から咲いているサルビアやマリーゴールド等は、8月中旬までに各茎に葉を4〜6枚ほど残して切り戻すと、9月中旬以降に立派な花をつけます。
ミニトマトやナスなども同様にして収穫出来ます。
観葉植物は、混んだり伸び過ぎた枝葉を間引き、スタンダード仕立てのものは形を整える剪定をこまめに行なう適期です。
バラも一般的には8月下旬に切り戻します。
しかし、花を楽しむ花木の多くは花芽を形成する時期ですので剪定は控えます。
8月も引き続き水やりが大変で大切な月です。
時々葉の裏にも散水すると、暑さや乾燥、害虫駆除にも効果があります。
また乾燥が激しい時には、朝と夕方の二回の水やりも必要です。
留守中に鉢物をダメにしてしまった経験はありませんか?
夏に閉め切った状態の室内は、かなりの高温になります。
庭がある場合は、日陰に鉢ごと埋め、たっぷりと水をやり、株元には草やワラなどを敷いて乾燥を防ぎます。
ベランダなどの場合は、鉢が入る容器の中に入れ、湿らせた新聞紙や布の上に鉢を乗せ、日陰に置きます。
屋外に出せない場合は、できるだけ涼しい場所に置いて外出しましょう。
真夏の庭には、ヒマワリ、キバナコスモス、クレオメ、トレニア、ハナスベリヒユ、ファリナセア、一寸サルスベリ・・・
みんな元気に8月を咲き続けて欲しい。
台風の到来も間近か。
(花暦・フヨウ芙蓉)
★花暦/芙蓉フヨウ
今から遠い昔、中国が蜀の時代のこと。
都の成城は、芙蓉の花で埋め尽くされていたと言われています。「水芙蓉」という異名を持ったハスの花に似ていることから「木芙蓉」と呼ばれ、中国では古くから栽培されていたフヨウ。孟俊王もこよなく愛し、長さ40里にも渡って植えられました。孟俊王ほどのことは出来なくても、人々は絵画や詩歌などに芙蓉への思いを残してきました。
薄紅色と白の芙蓉が一対で描かれた李迪の「紅白芙蓉図」は、宋代の花鳥画、明代の呂紀も「四季花鳥図」で芙蓉を描いています。(どちらも、東京国立博物館所蔵)。
日本でも、「四季草花図」「四季花鳥図」などの画題に多く取り上げられ、京都・智積院の長谷川等伯と久蔵親子の襖絵は、特に有名です。
芙蓉には、一日のうちで色を変える「酔芙蓉」もあります。
酒に酔い頬を染める楊貴妃の美しさを例えたとも言われています。
芙蓉は、一日で萎んでしまう儚さと、一日一日新しい花を咲かせ続ける力強さの両方を感じさせてくれる花です。
★花泥棒
家の前はトウカエデの並木道。
年に3回ほど除草剤が撒かれていた。
それが嫌で、そこに4年前から株元の小さな土のスペースに花を植え始めた。
1年目は20本のトウカエデの下に植えたが、雑草と同じ運命で薬にやられて枯死。
2年目は、家に近い6本の木の下だけに花を植え、他は草取りを繰り返した。それ以後、除草剤は撒かれなくなったが、花泥棒が現れた。
植えても植えても花がなくなるではないか。
もう諦めようと思っていた時、買物帰りのおばあさんが声をかけてきた。
「いつも楽しみにしているんですよ。」と。
それはそれは、嬉しかったので続けた。
がしかし、その後も花は株ごと盗まれ続けた。
今年、花泥棒を目撃した。
40〜50歳位の女性二人が車を止め、花を半透明のレジ袋にすごいスピードで押し込んだ。植えて間もない花だった。
現場には指の跡と穴。唖然とし、長年の怒りも。
怒りは毛を持ったボリジと巨大な葉のグレートマレインで表した。
マレインは2mを超え花を付けた。
今のところ、花泥棒は現れない。
★in
the season・トマト
雨と雨の間に時折顔を覗かせていた太陽が、「私が主役」とばかりに輝き始めれば、いよいよ夏本番。
植物にとってこの上ない太陽の光をいっぱいに受け、野菜も美味しくなる季節です。
沢山ある夏野菜の中でもトマトは夏を代表する味ではないでしょうか。
今や一年中手に入りますが、この季節の旬のトマトが最高です。
自分で育て、収穫すれば、その美味しさは、もっともっと格別です。
トマトは南米ペルーの生まれで、江戸時代に日本に伝わった時には観賞用だったといいます。
食用になったのは明治以降のことで、それ以来、食卓に欠かせない存在になりました。
欧米で「トマトが赤くなると医者が青くなる。」と言われてきたように、栄養豊富な野菜です。
特にビタミンA・Cが多く含まれていて、疲れ目や風邪の予防、病後の回復などにも良いとされます。
ビタミンAは、光を感じる機能に効果をもたらし、ビタミンCは免疫力を高める働きがあり、最近はリコピンでも話題です。
トマトは、夏の暑さを乗り切る必需品の一つです。
★海を越えて
最果ての花の島
北海道・礼文島
羊ヶ丘のクラークさん。ガラスの街、小樽。
サハリンが見える稚内。
紫の富良野。
赤い網走。
知床の深い森の緑。
野付半島はこの世の果て。
サケが泳ぐ別海ポントコタン川。
そして、稚内からもう一つ海を越えて香深港から礼文島へ。
礼文島は、200種以上もの高山植物に覆われた花の島。
6月下旬から8月にかけて一斉に花開く。
エーデルワイスで知られたレブンウスユキソウ、レブンアツモリソウ、レブンコザクラソウなどなど。
人の歩ける道以外には土は見えない。
断崖絶壁にまで花・花・花。
日本最北限のスコトン岬にも立った。
最果ての夕陽。光る海。自分の影。さあ、戻ろう。
旅はいつも刺激的です。
普段の生活から解き放たれて、心に肥料が染み入る。
そして、一気に咲き出す。
陸を遮断する海を越えた時、越えたなら、
そこには必ず新しい風が吹く。
★森羅万象・川
川で泳いだり、石を投げたり、川魚を手で捕まえたりしたことがありますか?
川は、太古から生活や文化、歴史と深い関わりをもち、天地を行き来する壮大な水の循環を担い、沢山の生命を育んでいます。
緩やかに、そして時に暴れながら。
日本には約3万もの川があるそうで、高度経済成長と共に水不足と水質汚染が深刻になった。
一滴一滴の雨が山に降り、川になり、浄水場を経由して配水管を通り、蛇口に届く。永い永い旅を続けてきた川の水は、人間が使い、また旅に出る。
各家庭からの雑排水が次の川の水質を汚染する。しかも、日本の下水道普及率は約40%で、残りの60%の家庭で使った水が川や海に流されているのです。(1900年代の終わり頃のこと。今現在は知らない。)
昔はすべてのゴミを川に捨てていたし、精霊流しでは神聖な死者の道でもあった。そんな故郷の川も遊泳禁止になり、母校にもプールが出来たのは1900年代の終わりのこと。
上水は2000年代になってから通ったが、風呂や台所で使った下水は、今も川に流されるままだ。
父から届く焼いたアマゴは、いつまで釣れるのだろうか?
山を削り、土砂を運び、それらを川底に溜めて平野を作り、ゆっくりと地球の表面を変えてきた「川」。大切にしたい。と思うのだが、昔のような自然豊かな川に出会うことは少ない。
〜終活60歳Floret 12ケ月9月〜
40〜45歳:長嶋 茂雄さん・土井 脩司さん
三宅 修一さん・金丸 三郎さん・須藤
慶一さん
知領 恒さん・真部 薫さん
(9月の花・曼珠沙華マンジュシャゲ)
★ガーデニング園芸ミニ知識・来年の春の準備
9月が訪れると、来春のための草花の種子蒔きの適期です。
秋蒔き草花のほとんどが、15〜20℃になる9月の中旬から下旬が蒔き時です。ワスレナグサやスイトピー、ゴデチア等は15℃以下になる10月蒔きに適した品種もありますので注意してください。
種子袋には簡単な説明が記されているものが多いのですが、園芸書などで品種ごとに下調べすることをお勧めします。
今思い描く春の花壇を実際に完成させるのは至難の技ですが、色の組み合わせや高低差、株の大きさ、開花期などを考えておくと失敗が少なくなります。
一面に同じ花が咲くのも見事ですが、多品種の組み合わせは、オリジナルで花のある時間を長く楽しむことも出来ます。
小球根類のサフラン、クロッカス、オキザリスなどは、今月上旬には植えましょう。
10〜11月に植えるチューリップやヒヤシンスなどの秋植え球根類のために、堆肥や腐葉土を混入する土作りは今月中に済ませておきます。
春植え球根のグラジオラスなどには、花後にお礼肥を施します。
夏の間、半日陰に置いていたゴムノキやドラセナなどの観葉植物は、下旬頃から直射日光に徐々に慣らしていきます。
根詰まりを起こしているものは、根を整理し、新しい用土に植え替えると元気になります。
庭木には、根や茎葉を充実させるために、リン酸とカリの多い肥料を株元にやります。
大きくなったツバキやサザンカなどの常緑樹の移植の適期でもあります。
収穫後の果樹へのお礼肥、ボタンやシバザクラ、アルメリアなどの株分け・植え替えなども今月の作業です。
(花暦・ハギ萩)
★花暦/萩ハギ
秋風は涼しくなりぬ馬なめていざ野に行かな萩が花見に(万葉集
巻10)
萩が万葉集に記されているのは実に141首。
ウメ、サクラ、フジなどを抑えて最も多く登場する花です。
秋の気配を感じ始める頃とハギの花期が重なり、花枝が風に揺れる姿に秋の訪れを感じたのでしょうか。
万葉の時代も、蒸し暑い夏が続くと秋を待ち望む気持ちは同じだったようです。
また、一輪一輪の花を見ると、決して目立つ花ではありませんが、秋風に、小さな花が、はらはらと散るその姿をも好んだ人々の心も推し量ることができます。
絵画や美術工芸品においては、ススキと一緒に描かれた作品も多く残っています。
ハギの仲間は、ハナハギ、ヤハズソウなど沢山ありますが、一般的にハギと呼ばれているものは、ハギ属の約40種のうち、木本的な習性を持つグループを指し、ヤマハギの別名とされています。
★カボチャ
我が家の庭は、もうすぐカボチャに占領されそうだ。
生ゴミから作った堆肥の中の種子が発芽したようだ。
発見してからツルをあちこちに移動しつつ雄花が10ケほど咲いた先に雌花が花を付けた。
手引書によると「早朝に雄花を取り、おしべを雌花に人工授粉するように」とある。
しかも「必ず」と。
しかし私は、Bee Balm(ベルガモット)も植えてある花壇に集まる虫たちの役割を信じてみた。
案の定、全ての雌花は立派な実になっていった。
食卓はカボチャのフルコース。
カボチャスープ〜カボチャコロッケ〜カボチャケーキetc.
★in
the season・そば
蕎麦は成長が速く、種子を蒔いてから2ケ月程で結実する種類もあります。
そば粉は、花後の果実の胚乳から作りますが、本来つなぎに使っていた小麦粉の分量が多く、蕎麦独特の食感や香りが少ないものも多く流通しています。
蕎麦は、稲と同時期の縄文晩期に渡来したようですが、稲のように貴重な食品とは考えられておらず、江戸時代になってから現在のようにそば粉に製粉されて麺になり、江戸時代の後期には、年越し蕎麦や引っ越し蕎麦などが生活習慣として定着しました。
栄養価については、たんぱく質や食物繊維を多く含み、動脈硬化などの予防効果もあるといいます。
★海を越えて
黄金に富むアクロポリス
ギリシャ・ミケーネ
<怒りを歌え、女神よ!ペレウスの子アキレスの忌まわしい怒りを。あの怒りこそアカイア人に・(中略)・人々の王者なるアトレウスの子(=アガメムノン)と神々しいアキレスとが口論し・(後略)>、24巻15,000行以上に及ぶ「イリアス」の書き出し。
そして「オデュッセイア」。
この世界最古とされるホメロスの叙事詩には、ミケーネ時代(紀元前16〜11世紀頃)の人間が登場する。
この詩をドイツの貿易商人、ハインリッヒ・シュリーマン(1822〜1890)は、幼い頃から史実だと信じ続けた。
そして50歳を過ぎて、ついにトロイア戦争のギリシャ軍総大将=アガメムノン王の居城を発見し、黄金に富むミケーネの伝説を現実のものにした。
ミケーネはアテネから約2時間半。
オリーブがわずかに育つ荒れた丘を歩き、獅子門をくぐってすぐの所に円形墳墓があった。
シュリーマンがアガメムノン王のものだと確信した黄金のマスクを発掘した夢の跡だ。
妻に殺されるアガメムノン王と、砂の中から次々に現れた黄金を見るシュリーマンが交互に重なりながら、頂上の王宮跡に立った。
後ろを振り返ると、広々としたアルゴリス平野の向こうに、輝くエーゲ海。葡萄色なす海原の・・・。
★森羅万象・雲
雲に包まれた地球をよく見たのは、スペースシャトルからの映像だった。
地球は、水を湛え、大気中にも水蒸気が浮遊する<水の惑星>。
地上の水に太陽が照りつけると水蒸気になり、塵などを核にして空高くに上がっていく。
それから徐々に冷やされて、直径10ミクロン位の小さな「水滴」や−20℃以下では「氷の結晶」に変わり、<雲>を作ります。
対流圏内の雲は、国際的に十種雲級に分類されるが、形状での分類は3種類。氷の粒が落下し、風に流され刷毛で書いたような雲は「巻雲」。
膜のように水平に広がる雲は、空気が穏やかに上昇する時に発生する「層状雲」。雲が浮力で上昇して塊になったのは「積雲」と呼ばれます。
人工的な雲は、工場などの煙突から出た水蒸気がそのまま雲になったり、飛行機から排出される水蒸気が作る飛行機雲などです。
この飛行機の雲は、下の雲に氷の粒が落下し、雨を生む雲を作る時もあるそうです。
水滴や氷の粒が日光を反射して白く見えることなど頭の片隅にもなく、形を変える雲がただ面白くて、ぼんやりと空を見上げていた時間があった。
Flower Revolution
流転する
大きな世界のひとかけら
ひとつぶの種から
太陽に向かって伸びゆく花の強さを
風にそよぐ一輪の花の優しさを
感じていたい
終活60歳Floret 12ケ月④10月・11月・12月・61歳〜
恋した人・愛した人・遊んだ人・尊敬した人・支えてくれた人・もう会えないかもしれない人・死んだ人・・・
「めぐりあい」って不思議です。
最初から分っているけど、「さよなら」は苦手です。
〜終活60歳Floret 12ケ月10月〜
45〜50歳:熊井 明子さん・細田 光一・操さん
鈴木 博美さん・東 由多加さん・桐原
春子さん
(10月の花・コスモス・赤トンボ)
★ガーデニング園芸ミニ知識・植え替えと植え付け
10月は4月と同じように、種子蒔き、株分け、植え替え、植え付けなど、長い冬を迎える前の作業がいっぱいです。
ガーデニングで思いっきり体を動かしましょう。
育苗箱などに蒔いた種子が発芽してきたら、混んでいる部分は苗を間引きします。
本葉が出て来た頃から根張りを良くし大きな株に育てるために、ビニールポットなどに移植を行ないます。(大きく育つものなどは、その後、一回り大きなポットにもう一度移植する場合もあります。)
多くは、早春まで軒下やビニールハウスでポットのまま育てます。
霜の降りない地域では今月中に定植します。
移植を嫌うスイートピーやポピーなどは、ポットで育てた場合は根を痛めないように注意して定植しますが、寒冷地でない場合は花壇に直蒔きした方が元気に育ちます。
春から夏に花をつけた宿根草の株分けや根詰まりぎみの鉢物の植え替え、アサガオやヒマワリなどは種子を収穫し、乾燥させて来年まで冷蔵庫で保存します。
チューリップ、スイセン、ヒヤシンス、スノードロップなどの早春から開花する球根類の植え付け適期。
他の植物とのバランスを考えて、球根の大きさの3倍の深さを目安にして埋め込みます。
今月から生長が止まる庭木や生垣は、整枝を行なうと春まで美しい状態を保てます。観葉植物は、そろそろ室内に取り込みましょう。
野菜は、間引きや追肥などの管理の他、ネギやシュンギク、ソラマメ、エンドウマメなどの種子蒔きも今月です。
4月に種子を蒔き、育てたトマトやナス、ピーマン、インゲンは、まだまだ収穫中です。
苗を購入して植えたものより収穫期間が永くなります。
キンモクセイの香りが漂い、紅葉が始まる10月。
庭では、バラが咲きコスモスが揺れる。サルビア類、シュウメイギク、ジニアリネアリス、アゲラタム、スイートアリッサム・・・
野菜の間にはマリーゴールド。
草花たちが目の前で秋を彩っています。
(花暦・金木犀キンモクセイ)
★花暦/金木犀キンモクセイ
金木犀の香りが漂う頃、天は高くなり、過ぎ行く風にも秋を感じるようになります。
星のような小さな花たちが放つ甘い香りに足を止める機会も増える季節です。
江戸時代に海を渡ってきた金木犀。
「桂」は日本では「かつら」のことですが、中国では芳香のある植物のことを指し、金木犀は「金桂」と呼ばれています。
華南の「桂林」の地域では金木犀が沢山見られる他、南宗の詩人陸遊の詩の中では、「月には大きな金木犀が生えていて、その木がなくなったら月の光はもっと明るくなるだろう。」など、中国には数々の伝説があるそうです。
ところで、金木犀は空気の汚れている所では、花は付けないとも言われています。
人間がその原因であることは明らかです。
★消えゆく花たち
紫苑シオン−絶滅危惧種
原野の湿った草はらに生える大型の多年草。
茎は直立して高さ80cm〜150cm、栽培下では2mを超えることもある。
茎葉はザラザラした手ざわりがあり、下方のものは長楕円形で長さ20〜35cm。上に行くにしたがって小さく細くなる。
根生葉は大型で長さ60cmに達するが、花時には枯れる。
花期は8〜10月。茎頂の大きな散房花序に、径30〜35mmで淡青紫色の頭花を多数つける。
満鮮要素の一つで、日本では九州(阿蘇くじゅう地方)に分布するほか、本州(中国地方)にも稀産するといわれるが、後者については定かではない。
九州では、他の草原性植物の多くと同様、草地改良や観光開発などにより自生地ごと次々と姿を消している。
庭の花としてよく見かけるため少し意外な感じもするが、野生のものはほぼ絶滅寸前である。
「レッドデータプランツ−日本絶滅危機植物図鑑−発行:(株)宝島社 1994年 より」
地球上から姿を消してゆくものたちがいます。
★海を越えて
花畑と湖のアルペンリゾート
スイス・カンデルシュテーク/エッシネンゼー(エッシネン湖)
ベルンから列車でアイガー、メンヒ、ユングフラウなどのアルプスの峰々を眺めながらインターラーケンに向かった。
あまりにも多い観光客にうんざりしながら、ユングフラウの遠景と街中を流れるアアレ川の青だけを胸に刻み、グリンデルワルトやミューレンの花畑も人が多いと想像して諦めた。
列車を乗り継ぎ、カンデルシュテークに宿を取った。
翌日、フランスパンとチーズとワインをリュックに詰めて出発。
リフトで7〜8分後からハイキング。
牧草地を抜け、丘の緩やかな細い道を進むと、雪を頂く山々の懐に神秘的な山上湖エッシネンゼー(エッシネン湖)が現れた。
左側には高山植物の花畑が広がる。
人は少ない。
花を踏まぬよう花畑の中を歩いて、小さな岩の上にリュックを開けて宴を開始。
ワインが私たちをアルプスの少女ハイジとペーターに変えた。
湖で遊び、花を摘み、カウベルを鳴らす牛を追いかけ・・・、美しい花々と絶景の記憶は消えない。
★森羅万象・風
一年ぶりの秋を真っ先に感じるのは「風」。
かつて繰り返されてきた秋の記憶が瞬時に蘇り、その時の風と一体化する。
風は、空気の地表面に対する水平方向の相対的な運動で、風速・風量・風圧で表され、その多くは海と陸との温度変化から生まれる。
特に日本は、季節風、台風、低気圧の去来等、風の強い地域だ。都市部では人工の風にも遭遇する。
ムッとするエアコンの排気風、地下鉄の出入口の強風、高層ビルの間では、あらゆる方向から風が来る。
その上、それらの風に様々な臭いや埃なども混ざり、滅多に爽やかな心地よい風には出会わない。
風は、植物に重要な役割を果たす。風が全くないと葉から二酸化炭素の吸収が出来ないらしい。
永い年月の間に同じ方向に吹く風や雪によって曲がった木々を目にすることがある。
この「偏形樹」が多く生えている地点は、風力発電の適地ともされている。
我々には全く感じない風もある。
地球は宇宙に吹く太陽風の凄まじい嵐の中を漂っているらしい。
〜終活60歳Floret 12ケ月㈬11月〜
50〜55歳:西島 不二夫さん・鋤柄 貴司・まちこさん
河村 昭浩さん・岩元 之成さん・田中
敏騎さん・林 保子さん
(チトニア)
★ガーデニング園芸ミニ知識・今年の秋を振り返りつつ
ハーブあり野菜ありの混植花壇の9月の主役の花は、鮮やかなオレンジ色のチトニア(メキシコヒマワリ)だった。
10月からはサルビア・レウカンサの紫とコスモスが競うように秋空を染めている。
コスモスは気に入った花から毎年種子を採り、4月下旬に直播きとポット蒔きで育て、毎年違ったレイアウトに挑戦している。
コスモスのない秋は考えられない。
9月から25種の草花の種子を蒔いた。
ニゲラ、ポピー、ギリア、カタナンケ、シノグロッサム、イエローサルタン・・・
種子は冷蔵庫で保存している。
10年以上前の種子も発芽して育つので、冷蔵庫の一段を陣取っている。
爪の間から土がなくなることがなかった秋から冬へ。
★10・11月の園芸作業のポイント
草花
・チューリップ、スイセン、ムスカリなどの秋植球根の植え付け
・9〜10月に蒔いた草花の定植
・ヒマワリなどの春蒔き1年草の種子取り
・春植球根の掘り上げ
野菜
・ソラマメ、エンドウなどの種子蒔き
・葉菜類の間引きと追肥
その他
・観葉植物等を朝夕は室内管理
・果樹へのお礼肥
・霜よけ
★HERB・世界最古の香水
魔法の水・ハンガリーウォーターのレシピ
ハンガリー・ウォーターは、ローズマリーを主成分に作った世界最古の香水といわれ、若返りのハーブウォーターとしても有名です。
香水としてはもちろんのこと、洗顔後の化粧水やバス・エッセンスとしても利用できます。
用意するものは、
・ローズマリー(ドライを大さじ4)
・ミント(ドライを大さじ2)
・バラ(ドライを大さじ2)
・ローズウォーター(1/4カップ)
・レモンピール(小さじ1)
・ウォッカ(1カップ)
以上をよく混ぜ合わせ、日光の当たらない場所に置き、時々揺すりながら1ケ月程度経過したら、布などで漉してビンなどに入れれば完成です。
以上が基本レシピになりますが、状況に応じて多少変更しても魔法の水を作ることが出来ます。
保存料は使用しないため、<作る・使う>を繰り返します。
★本日も晴天なり
<空飛ぶ夢を追いかけて>
空を飛びたいと願った人達がまず最初に考えたのが、鳥の羽のようなものを体につけ、自分の腕力で羽ばたくことでした。
空を飛べなかった昔の人の、空を飛びたいという願望は強く、半信半疑で橋の上、塔の上から飛び降りて命を落とした人も大勢いました。
航空力学が発達した今でさえ延々と続けられています。しかし成功した例は未だありません。
羽ばたくことに熱中した人を差し置いて、ちょっとしたことから空を飛んだ人がいました。
焚火の最中に火の粉やゴミが空に舞い上がるのにヒントを得、これを大きな袋に詰めて空中に舞い上がったのです。
初めて空を飛んだのは飛行機ではなく熱気球。これが今から200年以上前のことでした。
日本でも鳥型のグライダーで空を飛んだという話が残されています。
しかし、当時は江戸時代、封建的で新しいものに興味をしめすと、異端として扱われ役人たちに怪しまれ斬首されたといわれています。
彼の名前は浮田幸吉、「天明の飛行術」として日本の航空史に名を残し、事実とすれば、初めて人類が滑空飛行したという世界の航空史が70年も早かったことになります。
ほうきに乗って、空を飛びませんか?
<航空学とフライヤー号の成功>
鳥や昆虫を真似て空を飛ぼうとした時代、イギリスのケイリー卿によって世界最初の航空学が誕生した。
「飛んでいる鳥は自分の重さを支えるために羽ばたいているのではなく、前に進むために羽ばたいているのだ」「翼は平面よりも上面が少し膨らみ、逆に下面は少しへこんだ断面の方がよい」「尾翼をつけると空中で安定する」等と、基礎的な空気力学と安定性、操縦性などを解明し後世に多大な影響を与えた。
しかし、理論は見事だが、実際の飛行機を飛ばすには、あと一歩だった。
操縦が思った以上に困難で、ひとつバランスを崩しただけで墜落し、命を落とした者が多かった。
飛行機とは、機体、エンジン、操縦のバランスがとれて初めて飛べるのである。
この問題をすべて解決したのがライト兄弟である。
まず飛行機の模型を凧のように飛ばすことから始め、次にグライダーを作り滑空実験をし、揚力の研究と操縦法を体験し風洞を作り揚力を科学的に測定した。また鳥が風の中で翼を捻ってバランスをとっていることに注目し、飛行機の翼に応用した。
そして1903年12月17日アメリカ、ノースカロライナ州の海岸で12秒、36mの飛行に成功した。人類初の動力飛行機「フライヤー号」である。
この飛行に大きく寄与したものがガソリンエンジンだった。
それまでの蒸気エンジンでは大きく重くどうしても飛び上がれなかったのだが、この初飛行によりガソリンエンジンの真価が発揮され、本格的な実用化が始まったのである。
ライト兄弟の初飛行以降、航空機は戦争を経て急速に進歩した。今では大型の旅客機が最新の技術を載せて何の不安も見せず世界の空を飛び回っている。先人達に黙祷。
篭野茂雄さん<ハンググライダーで墜落死>
「10月8日、午前10時20分頃、静岡県富士宮市猪之頭で、東京都世田谷区上北沢5丁目、会社員、篭野茂雄(31)のハンググライダーが飛行中に・・・当時の天候は良く、風も穏やかだった。」1994年10月9日の朝刊
黙祷
〜終活60歳Floret 12ケ月㈬12月〜
55〜60歳:山崎 喜久雄さん・鈴木 優莉亜さん
鈴木 陽子さん・遠藤 秀樹さん・片山
雅勝さん
(12月の花・ポインセチア・流れ星)
★ガーデニング園芸ミニ知識・鉢花を楽しむ季節
日一日と寒い冬が到来し、室外の片付けを済ませると、室内に鉢花が欲しくなる季節です。
庭では秋蒔きの草花を間引き、枯れた一年草を抜き取ります。
宿根草に寒肥を施し、枯れた部分や落葉を取り除き、害虫が住み着くのを防ぎます。晴天が続く時には水をまいてください。
暖地では、パンジーやプリムラ類の苗の植え付けもできます。
またクリスマスの演出として、花とドワーフコニファー類などを組み合せたプランターも楽しいものです。
庭木は、マツやモミジ、ツツジなどの枝を整理します。
落葉花木のサクラ、モクレン等やバラの苗木の植え付け、移植も今月が適期です。
窓近くに置いている観葉植物で寒さに弱いアンスリューム、ペペロミア、コーヒーノキ等は、夜間は部屋の中央へ移動します。
葉のホコリを拭き取ることや霧吹きも忘れずに。
鉢物の冬の管理の基本は、水やり回数を減らすことです。
晴れた日の午前中に、花に水をかけないようにして、たっぷりとやりますが、冷たすぎる水は禁物です。
以下は代表的な花鉢の管理方法です。
・プリムラ類(西洋サクラソウ)
オブコニカは、ガラス越しの日光で十分育ち、メラコイデスやポリエンサ、ジュリアン等は室内(適温は5〜15℃)でも、屋外(霜の当たらない所)でも育ち、直射日光を十分当てると花色も良くなります。10日に1回程度の液肥を。
・ポインセチア
10℃以上の室内が適し、5℃以下の環境や寒風に当たったり、水を切らすと下葉から落ちていきます。日中はガラス越しの日光を当て、月2回程度の液肥を。
・シクラメン
日当りのよい室内で、5〜6℃の低温でも育ち、水やりは3〜4日に1回位。咲き終わった花は、茎をねじりながら根元から抜き取ります。月1回程度の液肥を。
★花暦/ポインセチア
木枯らしの季節になり、山々は静かに眠りにつこうとする時、街々には色鮮やかなデコレーションが施される。
「クリスマスフラワー」という別名を持つ、この季節を彩るポインセチア。
あの赤い部分は苞葉。
苞葉に囲まれた中心に小さな小さな花があります。
クリスマスには欠かせない冬の植物のイメージがありますが、南米のメキシコ生まれです。
19世紀初めにアメリカの外交官でメキシコ公使のポインセットが紹介したことからポインセチアの名がついたとされています。
それ以来、品種改良が繰り返され、現在のような色鮮やかで長期間楽しむものとなり、様々な品種が登場し続けています。
和名は「猩々木(しょうじょうぼく)」。
黒みを帯びた鮮やかな赤色を猩々緋(しょうじょうひ)と呼ぶことから名付けられたそうです。
★海を越えて
灰の下に眠っていた都市
イタリア・ポンペイ/ヴェスヴィオ(ス)ベスビオ(ス)山
♪赤い火を噴くあの山へ、登ろう。登ろう。そこは地獄の釜の中、覗こう。覗こう。・・・フニクラ・フニクラ・・・♪、快いメロディーのこのナポリ民謡は、ヴェスヴィオ山を歌った曲。
西暦79年8月24日午後1時過ぎ、ヴェスヴィオ山は大噴火。
三日三晩、降灰・雷・地震・津波が続き、ポンペイの人口の約10%にあたる2,000人もの人々が火山灰に埋まった。
街には上下水道が整い、舗装された道は車道と歩道とに分けられ、横断歩道もある。パン屋・八百屋・靴屋・喫茶店・病院・共同浴場・大円形劇場などが整然と並び、壁にはフレスコ画などの贅を尽くした装飾が施され、当時の繁栄を目の当たりにする。
あちこちには花をつけた雑草たち。
陽気な人々の賑やかさや喜びに見えた。
「ナポリを見て死ね」という諺は、当時は「ポンペイを見て死ね」だったに違いない。
自然の猛威は過酷だ。
ナポリを去る前日の夕方、丘に登り、サンタルチア港の向こうにヴェスヴィオ山を遠く望んだ。
★苔
1歳4ケ月を過ぎた娘が、9ケ月頃から好んで手にするのが「苔」。
外に出れば、真っ先に苔を見つけて削り取り、両手にいっぱいに握り締めながら歩く。
転んでも決して離さない。
外泊した時も同じだ。
この苔は家に持ち帰り、その頃には片手だけに納まっている。
風呂の時以外離さず、食事の時も、寝る時もで、朝には布団の中で散らばっている。
掃除・洗濯が大変なため、玄関先で手放すように躾けたが、それにしても苔に沢山の種類があることや美しさ、何ともいえない湿った心地よい感触を教えてもらった。
苔は乾燥させ、同じように彼女が拾ってきた落葉や木の実や石も混ぜてポプリにした。
これがなんとも素敵なのだが、近所の子供や大人達もがビニール袋に苔を入れて届けてくれるようにもなってしまい、毎日増え続ける。
もう量の限界が近い。
彼女と出会わなかったら、苔をこんなに間近でじっと見つめることなど一生なかっただろう。
〜終活60歳Floret 12ケ月61歳〜
60歳〜:竹井
紫音さん・落合 実さん
クリムト・ミレー・パルテノン・オーロラさん
太陽・海・富士山・植物・温泉・香り・美さん
思い出となってしまったあの日あの時の場面が、
今も時に鮮明なまま襲いかかります。
消えたはずの姿や声や音や色や香りや物や・・・
記載出来なかった方々にも愛と感謝を込めて!
「終活60歳Floret
12ケ月」